出版社内容情報
著者は雪で名高い北越塩沢の人.諸国の人々に越後の雪を主題とし,それに付帯した風俗習慣を伝えんとした.出版には馬琴,京伝等が関係し,当時天下の奇書として圧倒的な人気を博したという.しかも今日これを見れば単に風土記的な興趣のみならず,科学的随筆とも称すべく,また方言研究の重要資料でもある. (解説 益田勝実)
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
345
これまで北越踏査行だと思い込んでいたが、越後魚沼の鹽澤に生まれ育った鈴木牧之の定点からの北越譜。自然科学的な見地からの雪、あるいは雪国の観察記あり、地誌あり、民俗誌ありと、およそこの地方のあらゆることがらに筆が及ぶ。そのせいで、やや構成意識は弱いのだが。例えば初編巻之中で長々と「縮」について述べてみたりなど。「暖国」、「暖地」の私たちの想像を越える雪国の記述はきわめて貴重。文中でしばしば漢籍にも話が及ぶように、鈴木牧之はなかなかの教養人でもあり、また今も愛読されるような文章家でもあった。2022/10/19
がらくたどん
53
木内昇さんの『雪夢往来』を読みながら。越後の縮商鈴木牧之が収集し書き起こした「雪話」を山東京山が編集し息子の京水が挿絵を整えた郷土史。行事や風物はもちろんだが「遠野物語」もビックリの不思議噺や妖噺、雪国ならではの珍しい逸話に溢れている。初編と二編に別れ、二編目には京山・京水父子が越後を訪れ牧之の案内で「雪国体験」をした様子も語られる。妖噺はやっぱり楽しい。雪崩に乗って白髪翁が山を滑り降りたり、尾が二股の怪猫が雪中の葬列を襲いに来たり、毛むくじゃらの異獣が出たり。無音の雪中で出会う幽霊は冷たく哀しい。逸品♪2025/02/24
meg
33
いやあ、しびれた。正直文章は難しい。しかし情景はきちんと浮かぶ。描かれた絵の中に飛び込んでみたくなる。果てもない想像力に満ちた作品。2024/09/17
とんこ
32
寒い時に読もうと積んでいた本を読了。江戸期の文人鈴木牧之が、暖国の人には思いもつかないであろう雪深い郷土越後の暮らしを紹介した本で、当時のベストセラーにもなったそう。天然ガスの話、アルビノの熊や烏、雪崩の事故や怪異の話などが面白かった。原文に近いのでゆっくり読まないと頭に入らないけど、文章のリズムがよくてこういうのもたまにはいいですね。江戸の人と同じ文を読むってのも味わい深い…2025/02/22
金吾
31
読みやすい文章で書かれており、江戸時代の雪国の風俗習慣がよくわかります。鮭、寒行、熊の話が興味深かったです。また挿し絵も面白かったです。2023/01/16