岩波文庫<br> 春雨物語 - 漆山本

岩波文庫
春雨物語 - 漆山本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 76p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003022016
  • NDC分類 913.56

出版社内容情報

本書は「雨月物語」とともに上田秋成(1734‐1809)の小説として伝えられているが,いまだに完本は世に現われていない.本書は故漆山又四郎氏所蔵の天保14年の写本を底本にしたもので従来知られていた4篇を異本の形で提供するとともに今日まで知られていなかった4篇を完全な形にし,さらに疑問視されていた10篇の排列と執筆年代を明らかにした.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

103
作者晩年の短編集。語句の注も現代語訳も全くないので、読むのに苦労した。それでも読む価値はある。強い情念を感じる密度の濃い文体は、現代の日本の作家では味わえないものだ。現代人と江戸に生きた人とは、心の在り方が異なっていたことがよく分かる。現代とくらべて、死と異界が人々の身近にあったのだろう。「目一つの神」は分かりやすく、内容も面白い。都へ和歌の修行に出かけようとした若者が、森の中で異形の者たちに出会い、自分の決心を翻す。不気味な雰囲気だが、森の中の一つ目の神を中心にした深夜の酒盛りにはユーモアがある。2018/01/31

ヴェネツィア

62
『春雨物語』は、上田秋成晩年の短篇物語集。タイトルも付いているが、10篇の物語中には「歌のほまれ」のような断片草稿としかいいようのないものも含まれる。また、『雨月物語』のような幻想文学ではなく、基本的には現世で物語が決済するが、「目ひとつの神」のような怪異譚もある。全体を貫流するのは、老いてもなお衰えることのない秋成の"憤り"と、晩年の"静かな諦念"とが混交する物語世界である。"憤り"では「死首の咲顔」か「樊噲」、"諦念"では、「血かたびら」の平城帝の造形、あるいは「宮木が塚」あたりに濃厚な影を落とす。2013/07/18

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