出版社内容情報
紀州藩主,徳川治貞が広く藩内から治世上の意見を徴した際,本居宣長(1730‐1801)が古道に基づく政治原理を説いたもの.「玉くしげ」(天明6年成立)には古道の本旨が,「秘本玉くしげ」(天明7年成立)には政策の具体例が述べられている.封建社会の病弊にリアルに迫り,文体も努めて虚飾を去るなど,宣長がその学問と現実との接点をもっとも端的に示した著作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
61
月曜開館のО図書館。段落変わらず読みにくし。とはいえ、昔も貧富のことは書かれていた。「秘本玉くしげ上」のところでは、68ページくらいから。世上困窮に付ては、金銀を借者多き故に、ゆたかなる者は、これを貸て利を得る事多きに、貧しき者は、借りて利を出していよいよ苦しむ也(69頁にかけて)。とにかくに貧民は、何に付けてもふひんなる者也(70頁)。だよな。解決策はなかなか見出していないかな。昔も今も。。2023/07/17
双海(ふたみ)
14
今夏は宣長さんの本を読もうかなと考えていますがどうなることやら・・・2014/05/23
金吾
12
国学というのをあまり理解していないためか理解は不十分です。読みやすいですし当時においては具体的施策なのでしょうが何故そうなるのかよくわからなかったです。日本の宗教の固有性はわかりました。2020/10/04
Nemorální lid
5
『歴史の長い相に於いて万事を観るという落着き』(解 p.7)が著者である本居宣長の学問と人格によって描かれている。「玉くしげ」では彼特有の国学および記紀理解の原理を説いており、「秘本玉くしげ」では理論の実践、応用的方面を重視して説いている。『人智は際限があり、神意は不可思議である』(解 p.5)故に『民は天照大御神より、預かり奉れる御民ぞ』(p.29)として国学の政治性を決定づけている。こうした一連の神道観こそが後の尊皇攘夷に繋がっていくのだろう。貨幣経済を排し、古代の物々交換を良しとしたのも理解出来る。2019/01/07
はちめ
3
秘本の方は各論に当たり様々な実務上の課題に対する考え方が示されているのだが、その内容は現代の視点からするとあまりに常識的で面白味に欠けるが、そのことは要するに本居宣長という人がどのような人となりであったかを示しているのだと思う。ただ、金融政策に関しては極めて復古的で現代社会には通用しないと思う。2017/04/03