出版社内容情報
鎌倉時代の女流歌人阿仏尼が,夫の死後,領地相続について幕府に訴えようと,京都から鎌倉へ下った時の旅日記.平安女流作家の日記にくらべ華やかさはないが,誠実な人間の記録として,貴重な存在である.本書は九条公爵家旧蔵の古写本阿仏記を底本とし,残月抄の本文で校合した.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
15
本書を読んで・・・私もせっかく日記をつけているんだから、歌日記にしてみようと思いました。2014/07/28
LUNE MER
14
玉葉和歌集、風雅和歌集のあたりで特にバチバチする二条家と京極家に冷泉家を加えた三家に分裂していたというのは漠然と知っていたが、阿仏尼の頃にその発端があるとは最近知った話題。十六夜日記は京都から鎌倉への道中風景が魅力的だが、そもそも鎌倉へ向かった理由が定家の孫世代での異母兄弟間での相続争いの訴訟のためというのがなかなか生々しくてよい。相手側が二条家の祖でこちらが冷泉家の祖。北条泰時が御成敗式目を作ったときには公家の法(律令)には口出しせずに武士の方だけで適用するので懸念不要です!💦と気を遣っていたのに、2021/10/17
コノヒト
1
領地の相続に関わる問題を鎌倉幕府に直訴するという目的在りきの旅なので、単なる物見遊山ではないわけだが、その道中日記は、結果、紀行文として楽しめる。詠まれる歌が風景を写し出し情景を切り取って、現代に置き換えれば、フォトエッセイ、コミックエッセイといったところか。2015/03/30