出版社内容情報
第14番目の勅撰集.正和元年,伏見院の命を受けた藤原為兼の撰,総歌数2800.これの成立には政治的および歌の派閥の争いがあった問題の書である.従来二条家で独占していた撰集とは歌風が異るゆえ,多くの悪意ある批判が行われた.しかし,為兼撰の歌は自由闊達で格調複雑,清新味に満ち,新古今のおもかげをここに再出せしめた.
内容説明
第一四番目の勅撰集。正和元年、伏見院の命を受けた藤原為兼の撰、総歌数二八〇〇。従来二条家で独占していた撰集とは歌風が異るゆえ、多くの悪意ある批判が行われたが、為兼撰の歌は自由闊達で格調複雑、清新味に満ち、新古今のおもかげを再出している。
目次
卷第一 春歌上
卷第二 春歌下
卷第三 夏歌
卷第四 秋歌上
卷第五 秋歌下
卷第六 冬歌
卷第七 賀歌
卷第八 旅歌
卷第九 戀歌一
卷第十 戀歌二
卷第十一 戀歌三
卷第十二 戀歌四
卷第十三 戀歌五
卷第十四 雜歌一
卷第十五 雜歌二
卷第十六 雜歌三
卷第十七 雜歌四
卷第十八 雜歌五
卷第十九 釋教歌
卷第二十 神祇歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
14
21代集の最大となる約2800首を採っていることもあり、バラエティに富んでいる印象強し。古今、後撰、拾遺あたりを読み進めていると(素人のくせに生意気だが)マンネリ化を感じ始めてしまうところ、本歌集は退屈せずに読み通せた。長かったけど。歌人の時代も古今時代から当時のモダンなところまでカバーされ、古い時代の歌についても新しい目で再発掘されているとか。玉葉、好きになりました。2020/06/18
内藤銀ねず
11
再読。何度も同じことを書きますが、これぞ岩波文庫というくらいの珍書。何しろ2013年の重版で三刷(1944年初版)。よくもまあ、昭和十九年という日本が滅びるかどうかという時期にこれを出版できたものだと感動すら覚えます。いわゆる京極派と呼ばれる和歌革新者たちが中心になって、それまで誰もが駄作としか評価していなかった和歌にスポットライトを当てた国文学史上の問題作。江戸時代に和歌ブームが起きて狂歌に和歌のパロディが現れても、玉葉集の和歌は無視されてたくらい黒歴史の扱いしかされてません。2018/12/20
内藤銀ねず
4
どうしてこれを岩波文庫に収めようと企画したのか、私にとっては謎のひとつ。重版の頻度が少なく、重版のたびにすぐ売り切れる人気商品ながらも、内容は実にそっけない。作者索引も脚注もなく、歌が2800首ならんでるだけの白文仕様。 玉葉集は、古典和歌のお約束を意図的に無視した歌が多く、現代人にも読みやすいです。特に叙景歌に新感覚がありまして、…ということは昭和の万葉ブームへのカウンターパートとして、古典研究のプロからの絶叫の如き声がこの岩波文庫版だと言えるかもしれません。
nininice
4
新古今和歌集から和歌を読み始めたので、やっぱり新古今歌人の歌がでてくるとはっとする。春歌の巻で、梅の花が咲きはじめたころ、定家、良経、慈円、宮内卿、と新古今歌人が連なったところで空気が蜜のようにとろとろに甘くなった気がしました。天才為兼は、そういう効果を十分に狙って編集したのだろうな。春歌と戀歌のみ読了。季節の歌は季節追い追い読んでいきたいと思います。2017/04/23
すいれん
3
七月頭から図書館の国歌大観をコピーしたものをちまちま書き写していた所に重版!!喜んだのもつかの間、番号も訳注もなくて呆然とする。最近の岩波文庫の右ページに和歌、左に訳注に慣れていたから本当びっくりした(笑)行基の歌(これで玉葉に興味もった)探すのに半日かかる。十三代集はほぼ手つかずなので地道に読み進めたい。明治書院の上下巻のお世話になるのは絶対かも。先は長い。ボリュウミィな2800首に慄く暇はない💦2025/08/30
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