出版社内容情報
本冊には,巻4から巻6までを収める.巻4(源頼政が以仁王を促して挙兵),巻5(福原への遷都,源頼朝が挙兵,富士川で平家の大軍が惨めな敗退),巻6(清盛が熱病で死去,木曾義仲も挙兵)と,平家の栄華は急速に傾いてゆく.
内容説明
本冊には、巻四から巻六までを収める。巻四(源三位頼政が以仁王を促して挙兵し、宇治川で合戦)、巻五(福原への遷都、源頼朝が挙兵、富士川で平家の大軍が惨めな敗退)、巻六(木曾義仲も挙兵、清盛が熱病で死去)と、平家の栄華は急速に傾いてゆく。
目次
巻第四(厳島御幸;還御;源氏揃 ほか)
巻第五(都遷;月見;物怪之沙汰 ほか)
巻第六(新院崩御;紅葉;葵前 ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
248
半分まで来たが、既に東国では頼朝が兵を挙げ、信濃でも木曾義仲が、さらには西国からも平家造反の火の手が上がった。高倉院崩御に続いて清盛もついに64歳で「あつち死」。『平家物語』は全体とすれば、こうして編年体風に歴史が語られるのだが、軍記をまさに軍記たらしめているのが随所に見られる合戦の場面だろう。例えば、宇治川をはさんで勇壮な闘いが展開する巻4の「橋合戦」などがその典型的なものである。そして、その一方で「小督」のように、高倉帝の悲恋が回想風に語られたりもする。中世の無常の中にも王朝風の雅が揺曳するのである。2013/03/12
syaori
68
本巻は、後白河上皇の幽閉などの暴挙に対し、皇子・以仁王が源頼政と組んで平家転覆を計画した以仁王の乱で開幕。この企みは早々に露見・失敗しますが、この時の平家打倒の令旨が木曾義仲や頼朝の挙兵に繋がることに。また、これに絡めて頼政の鵺退治の物語が語られます。このような挿話も『平家』の魅力の一つですが、この小話は特にその伝奇的な魅力に加え、「はなさく事」もなかった頼政の暗い、しかし朽ちせぬ武勇と歌人としての側面を伝えるものとして大変好き。各地の源氏が蜂起し平家方の劣勢が伝えられる中、清盛の異常死が語られて次巻へ。2024/12/20
クラムボン
15
これまで物語の中心だった清盛が亡くなる「巻6入道死去」…ここまでが前半。これから本格的な源平合戦に入る。ここまで読んで気づいたのは、読み易い章段がある一方、極端に読み辛い章段があること。特に難しい仏教用語や一度にどっと出てくる登場人物の辺りは読み辛い。この辺りはサラッと斜め読みで対応する他無い。その中で好みの章段は「橋合戦」。小気味よいテンポの合戦模様は《平家語り》の醍醐味が味わえる。そして何の事は無い「早馬」の章段だが、相模国の住人大場三郎景親が早馬でもたらす伊豆国の流人頼朝の蜂起の知らせが効いている。2021/11/21
ナハチガル
11
記録によると去年の2月に購入している。『源平盛衰記』や『義経記』を併読しながら一年半以上かけて読んでいるので、頭の中で話がごちゃごちゃになってしまっているが、心地よい文章は筋がわからなくても十分楽しめる。仏教の基礎的な知識がないのでつらい部分も多いが、今も変わらない人間の悲喜こもごもと、今とはぜんぜん違う当時の習俗が楽しめてお得。合戦における出で立ちと作法がうつくしい。「橋合戦」での微に入り細を穿つ「乗馬での河の渡り方」は非常に勉強になる。私の余生には絶対そんなシチュエーションはないだろうけれど。A+。2016/12/02
高橋 橘苑
9
日本史は美しい。この巻は平清盛の死によって終わる。王法と仏法の悪行者清盛は、法皇を幽閉し反平家貴族を追放しただけで無く、強引に遷都を敢行、南都奈良を炎上させて、さしもの大仏殿を灰塵に帰してしまう。その報から熱病を患い、焦熱地獄に堕ちたという。そして、私の空想の翼は織田信長の下へ降り立つ。桶狭間の直前、信長は敦盛を舞い、暴風雨の川渡りでは、逆櫓論議を引き合いに出して無理に舟を出させたという。中世的権威を蹴散らし、北都比叡山を焼き払い、紅蓮の炎に燃える本能寺に逝った信長も、平家物語の美学に殉じたのだろうか。2014/09/28