出版社内容情報
平安末期、鳥羽院の崩御を機に、嫡子崇徳と同母弟後白河との間で王権をめぐる骨肉相食む争いが勃発、両者の確執は摂関家と武家をも巻き込み、国家を分断する一大抗争へと発展した。史上、保元の乱で知られる争乱をえがいた本作は、物語の名のもと、歴史の真実と人間存在の機微を深く見すえる。九十年ぶりの新校訂版。
【目次】
内容説明
平安末期、鳥羽院の崩御を機に、嫡子崇徳と同母弟後白河との間で王権をめぐる骨肉相食む争いが勃発、確執は摂関家と武家をも巻き込み、国家を分断する一大抗争へと発展した。史上、保元の乱で知られる争乱をえがいた本作は、禁忌の事実は秘しながらも、物語の名のもと、歴史の真実と人間存在の機微を深く見すえる。新校注版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
54
天皇家の跡目争いに端を発し、摂関家・武家を二分させ、武家社会の台頭と貴族政治の終焉のきっかけともなった保元の乱。本書はその歴史の転換点を克明に写し取ったノンフィクションである。当時は禁忌とされた醜聞を交えつつも描かれるは、掛け違いによって家族を討ち、辱めを受けない為に自害し、子とも引き離され、首実検として遺体すらも掘り起こされる戦の悲惨さだ。経典を突き返された崇徳院が祟る説話はここからだったのか。一方、源為朝が琉球へ逃げ延びた事実からありえたかもしれない未来を膾炙した「椿説弓張月」が生まれたと思うと熱い。2025/11/16
sayan
20
本質は社会の全階層を貫く暴力の連鎖だ。ジラールが説く近親ゆえに互いが合わせ鏡となって暴走する暴力は貴族の兄弟対立(崇徳対後白河)に留まらない。その実働部隊=武士間でも源為義・義朝親子等の相克が並行発生し権力のバグが父を斬る子を不可避にした。この無秩序な暴力は犠牲を捧げる事で秩序回復を志向する。サウル王からダビデへの王権移行が神の正義へ回収される聖書に対し本作は崇徳院の怨霊化、即ち敗者の永続的な保存という異質の結末を選ぶ。解決を拒み不条理を恨みで凍結させる日本特有の精神史。救いなきこの保存は何を鎮めるのか。2025/12/19
春風
12
光文社古典新訳文庫で刊行中の曲亭馬琴『椿説弓張月』が10月はお休みで、それにぶつけるように岩波が原作ともいえる『保元物語』を刊行してきたので手に取る。為朝の快刀乱麻を断つが如きの大活躍の連続かと思いきや、そのような保元の乱の戦闘描写は意外と短く、乱後の悲愴極まる戦後処理が印象深い軍記物語であった。戦前戦中戦後の展開の緩急が際立っており、800年前の作品とは思えないほどに文学として楽しめる。なにより、死が身近であったであろう当時の悲愴で無惨な現実を見る思いであった。2025/11/09
アメヲトコ
10
保元の乱の一部始終を描く13世紀の軍記物。子供の頃読んだ少年少女日本の歴史の描写はかなりこの物語をベースにしていて、読んでいて絵が浮かびました。崇徳上皇はかなり気の毒ですが、史実の方がもっと悲惨という。源為朝が主人公格で活躍しますが、左腕が右腕よりも長いゆえの強弓って、左腕の長さを活かして美しいアーチを放っていた田淵幸一さんみたい。2025/11/20




