出版社内容情報
第5番目の勅撰和歌集.1126‐27年成立.白河法皇の下命により源俊頼撰.「拾遺集」時代から当代までの歌人の詠を主体として伝統と当代の調和をはかった三奏本による.主な歌人は源俊頼,源経信,藤原公実,藤原忠通,源顕季,堀河院など.
感想・レビュー
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ヴェネツィア
343
第5勅撰集。白河院の院宣によって源俊頼が撰歌。「三奏」とあるのは、白河院が2度までも気に入らず、3度目にようよくご嘉納になった故である(巷間には二奏本が流布していたらしい)。歌集名からは従来にない新しいものをという意気込み(白河院によるものか?)が感じられる。古今以降の3集はいずれも古今を王朝和歌の範と仰ぐ姿勢を見せていた(歌集名にも明らか)が、ここでは金の言の葉に紡がれた歌集として、当代歌人を中心に編纂された。入集歌人では、後代にも評価された源経信(26首)、俊頼(31首)の父子が多い。2020/07/03
壱萬参仟縁
13
旧字体だがルビがあるので少しは読める。266「なよ竹の 音にぞ袖を かづきつる 濡れぬにこそは 風としりぬれ 百首哥中に、網代をよめる 皇后宮肥後」(50頁)。僕は竹林の竹にはなぜか、惹かれるのである。304「何となく 年の暮るゝは 惜しければ 花のゆかりに 春を待つかな 年の暮をよめる 藤原成通朝臣」(55頁)。今の年の暮れにうってつけか、と。今年は皆様にとってどんな年だったろうか。わたくしは読書会を1名の方とかけがえのない1時間半を過ごし、拙著もご購入いただけた。来年は塾生を4名集める。2013/12/27
LUNE MER
11
五番目の勅撰和歌集。2ndドラフトまでは白河上皇にダメ出しされ、3rdドラフトは(予想を裏切り?)OKが出てそのまま原本は上皇というか待賢門院の手元に行ってしまい、コピーを控えてなかったので世の中には2ndドラフトをベースとしたものが流布してしまったというややこしい経緯があるらしい。本文庫は最終版の3rdを底本とし、2ndにしか収録されてない歌も収録された和集合的な一冊。いい時代になったものだ。千首も収録されてないコンパクトな和歌集だが、収録されている和歌も枯渇気味かなぁと傲慢な感想。(素人のくせに)2020/05/18
双海(ふたみ)
9
正字・正かな遣い。「吉野山峯の櫻や咲きぬらん麓の里ににほふ春風」「來る人もなき我が宿の藤の花たれを待つとて咲きかゝるらん」2014/03/23