出版社内容情報
「和泉はけしからぬ方こそあれ」と紫式部に指弾されるほど奔放な生活を送った和泉式部は,早くも少女の日にその生涯を予感するかのように「暗きより暗き道にぞ入りぬべき……」と歌った.平安文化の爛熟をまたその崩壊を身をもって詠じた天性の詩人和泉式部.歌集の中から本文において最も信憑性の高い正・続を併せ一冊とした.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
15
今昔秀歌百選35,もの思へば澤のほたるもわが身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る,和泉式部,後拾遺歌集巻二十,選者:高池勝彦(辯護士) http://researchmap.jp/jo98dmxoy-1787586/#_1787586 後拾遺歌集67首の採用で最も多いとのこと。 奥山にたぎりておつるたきつ瀬の魂ちるばかり物なおもひそ2013/04/21
双海(ふたみ)
13
涙こぼれる歌集。和泉式部大好き。校注はもちろん清水文雄先生です。2014/02/07
LUNE MER
12
和泉式部歌集と同続歌集の二つの歌集を同時収録。歌集の体裁としては、歌の重複が少々気になるところか。編集が雑なのか、重複を避けることよりも歌の連なりを優先したのかは定かではないが。和泉式部というと、自分の中では妖艶な恋の歌をさらっと読んでしまう女性というイメージがあるのだが、本歌集は春夏秋冬の歌、雑歌も膨大に収録されており、偏りは感じない。が、後拾遺にも選ばれている、貴船で詠んだ「物思えば」の歌も採られていないなど、網羅性という点でももう少し、という印象。後拾遺や日記が彼女の歌を堪能するベストなやり方か。2020/05/30
元気伊勢子
7
また読みたい。今回は、意味には捉われずに雰囲気を味わうように読んでみた。学校で習ったこともあり、懐かしかった。2023/04/15
Fumoh
4
和歌については門外漢ですが、読んでいてしみじみとし、また同時に親近感も湧いてくるものが多かったです。まず近代の詩人の自己認識観と似通ったものがあったこと。この世が無常なものであると知りつつも、今を生き、刹那の風物を愛し、永遠に続くものを探るという思いがあったように見受けられました。ただ、その反面、ただの日記のような和歌もあり、どことなく軽妙で肩肘張らないところもあるのも事実。この美しくも雑多であり、平穏な日常の中にある様々な思いをつれづれに美に昇華するという流儀こそ、和泉式部や当時の歌人の意識なのかも2025/10/11




