出版社内容情報
生殖不能要件は憲法違反――長く放置されてきた人権侵害を是正するため、「性同一性障害特例法」の改正が求められている。いま私たちに必要な基礎知識とは何なのか。特例法が制定された背景から、法・医学・国際人権の知見まで、高井ゆと里、野宮亜紀、立石結夏、谷口洋幸、中塚幹也らエキスパートが解説する。
内容説明
生殖不能要件は憲法違反―長く放置されてきた人権侵害を是正するため、「性同一性障害特例法」の改正が求められている。いま私たちに必要な基礎知識とは何なのか。特例法が制定された背景から、法・医学・国際人権の知見まで、高井ゆと里、野宮亜紀、立石結夏、谷口洋幸、中塚幹也らエキスパートが解説する。
目次
第1章 特例法の制定過程から考える、その意義と限界(野宮亜紀)
第2章 性別変更要件とはなにか(立石結夏)
第3章 国際人権基準と性別記載変更法の現在(谷口洋幸)
第4章 特例法とトランスジェンダー医療(中塚幹也)
著者等紹介
高井ゆと里[タカイユトリ]
群馬大学情報学部准教授。哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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venturingbeyond
26
特例法の不妊化要件規定に最高裁の違憲判断が示され、外性器近似要件規定についても、身体への不要な侵襲を強要する規定と見なして、これを違憲とする判断が示されるとの見通しが高まる昨今、まさにタイムリーな一冊。問題含みの制定のプロセスにおいて、当事者の苦渋の選択により、「はじめの一歩」として成立した立法の歴史(1章)、特例法の構成とその問題点の詳述(2章)、近年の国際人権法におけるトランス当事者の人権の位置づけの変容(3章)、トランス当事者の医療上の課題(4章)と特例法について抑えておくべき論点を列記した良書。2024/04/20
die_Stimme
3
『トランスジェンダー問題』訳者の高井さんが編者の岩波ブックレット。「性同一性障害の性別の取扱いに関する法律」(通称特例法)は以下。0 「性同一性障害である」という診断を二名の医師から受けていること1 一八歳以上であること2 いま結婚していないこと3 未成年(一八歳未満)の子どもがいないこと4 生殖能力を絶対にもたない身体の状態であること5 外性器の外見(見た目)が、書き換える先の性別の外性器と似ていること。「4 生殖能力を絶対にもたない身体の状態であること」が違憲とされてから初めての国会がもっか開催中。2024/03/10