出版社内容情報
2023年3月13日、袴田事件の再審開始決定が確定した。事件から57年が経過していた。なぜ、冤罪は起こるのか?実際に袴田事件で再審開始決定を下した元裁判官をはじめとする刑事裁判の専門家が、日本の刑事司法制度の下で冤罪が発生する要因に正面から迫り、是正策や法改正の必要を解き明かす。
内容説明
「裁判官が間違った裁判をするはずがない」「警察・検察が証拠をねつ造するはずがない」。こうした先入観は今すぐ捨ててください。袴田事件で再審開始決定をした元裁判長をはじめ、刑事裁判の専門家が、日本の制度の下でえん罪が発生する要因に正面から迫り、是正策や法改正の必要を説明します。再審の理解に必読の書!
目次
第1部 袴田事件(袴田事件を知っていますか?)
第2部 再審制度の何が問題か(再審制度とは何か;再審請求に伴う困難;証拠開示;証拠のねつ造・隠ぺい;裁判官・弁護士の、捜査機関に対する「過度な」信頼;虚偽自白;再審開始の要件;検察官抗告;再審手続規定の不備;刑の執行停止)
著者等紹介
村山浩昭[ムラヤマヒロアキ]
1956年生まれ、弁護士(元大阪高裁部総括判事)
葛野尋之[クズノヒロユキ]
1961年生まれ、青山学院大学教授(刑事訴訟法)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
5
岩波ブックレットなので要点をコンパクトにまとめてくれており、日本の再審制度の問題点や冤罪被害を出さないため、あるいは冤罪被害者を救済するためには今後どう変えていく必要があるかについてざっと知識を整理することができて有益な一冊だった。2024/05/02
たろーたん
3
冤罪で有名な袴田事件(正しくは「はかまた」だそうだ)は、1966年に起きた、味噌製造会社専務宅の四人が殺された強盗殺人・放火事件だ。この事件の犯人とされたのが、当時30歳の袴田氏なのである。一日平均12時間の過酷な取調べでの自白や、トイレに行きたいと言っても許されず、取調室内の便器でやらされたことも有名だ。結論から言うと、この自白は一通を残して全て証拠から排除される。しかし、裁判が進み、事件から約1年2ヶ月後、事件現場に線路を挟んで隣接する味噌工場の味噌タンクから「五点の衣類」が発見される。(続)2024/08/23