出版社内容情報
真夏の風物詩、国民的行事として親しまれる夏の甲子園大会。だが、甲子園に出ることだけが野球の全てだろうか? 野球をする喜びを球児から奪ってしまう高校野球の現状と、その打開策について、野球をこよなく愛する二人が敢えて直言する。高校生による、高校生のための野球を実現するために、私たちにできることとは?
内容説明
理由は猛暑だけじゃない!国民的ビッグイベントの犠牲となる球児たち―野球を高校生の手に戻すために、私たちは何をしなければならないのか?
目次
第1章 「野球は二〇歳になってから!?」―私が真剣に高校野球改革を叫ぶ理由
第2章 真夏の甲子園大会はいらない!―高校生のための高校野球への提言
第3章 「廃止論」どころか「改革案」までも封殺する日本のジャーナリズム(マスメディア)の根本問題
著者等紹介
玉木正之[タマキマサユキ]
1952年京都府生まれ。スポーツ文化評論家、日本福祉大学客員教授
小林信也[コバヤシノブヤ]
1956年新潟県生まれ。作家、スポーツライター。著作に『高校野球が危ない!』(草思社)など多数。長岡高校野球部では投手として活躍、1974年春季新潟県大会で優勝した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
120
酷暑、越境入学、勝利至上主義…高校野球を取り巻く課題は多い。私は、諸悪の根源はトーナメント方式だと思う。全国の高校の半数が公式戦1試合で敗退する(強豪校は何試合も戦う)不平等。1校を除いて全てのチームが敗戦でシーズン終了(それが教育だという人がいる)。セルジオ越後さんが「なんで日本のスポーツには補欠が大勢いるの?」と問うが、リーグ戦方式にすれば不平等は解決し、BチームやCチームを作ってみんな試合に出られるのに。その方式を阻むのは、涙と感動のドラマを求めるメディア(とそれを期待する国民)。改革の時だと思う。2023/06/07
Lara
80
「高校生野球の原点は、教育にある」とするなら、マスコミの作り出した商業主義的見世物になっている現状を変えなければならない。まだ発展途上の若者たちには、野球以外にも、勉強する、本を読む、恋愛する、映画を観る、野球以外のスポーツを体験する等々、同時にやって欲しい。後発のサッカー界が、系統立てて組織化がなされている点は、評価されなければならない。野球界は、意識も組織も、遅れている。そもそも、ジャーナリズムであるマスメディアが、特定の野球大会、マラソン大会を主催する事の可笑しさに気づいていない。2023/09/21
ケイトKATE
31
正直に書くが、私は野球も高校野球も好きだ。しかし、最近の猛暑が続く中で試合をするのは常軌を逸している。選手の健康が大事ならば夏開催を止めて秋に変更すべきである。高野連をはじめとする高校野球に携わる大人達は、問題に対して反応が鈍く、白スパイク使用可など小手先の改革しかしていない。スパイクの色ぐらい自由に決めさせろと言いたくなる。過酷な試合や練習のため、子供達の野球離れが進んでいる現在、高野連をはじめ日本の野球界は、テキストで指摘されている問題と提言を真摯に受け止めるべきである。2024/08/08
こも 旧柏バカ一代
22
熱中症注意報が出てる中の真夏の昼間に行われる甲子園。栄光を掴む者がいる中で、怪我でリタイヤしたり、熱中症でおかしくなってしまった人も居た。そんな甲子園は高校生の部活なのに、朝日新聞と毎日新聞、NHKの利益にされてしまっている。その利益を全国の野球部に還元してるのかと思ったら違うらしい。ただの番組として消費されてしまう。だから、監督などが高校の利益のために勝利至上主義に走り勝つために優秀な選手を集めてチーム編成を行う。そして長時間の練習をさせて学生の本分である勉学を軽視させてしまう。こんな甲子園で高校野球で2023/05/25
coolflat
16
4頁。日本中が「災害的」な猛暑に見舞われている。熱中症が多発する中、野球は平然と猛暑下で試合をしている。環境省は「運動に関する指針」として、気温31度から35度は「厳重警戒(厳しい運動は中止)」、35度以上は「運動は原則中止」と規定している。サッカー界はこの基準を遵守。「真夏を避けよう」と叫ぶ声は、当事者からは聞こえない。高野連や朝日新聞とは主従関係にあると同時に共犯関係でもある。「甲子園は素晴らしい」「真夏にやってこそ、あの感動が味わえる」と多くの大人たちが主張し、「夏の甲子園」を守ろうとしている。2024/02/15