出版社内容情報
ふたたび被爆者をつくらないために--一九四五年八月の原爆投下によってこの世の地獄と化した広島と長崎。その苦難の中から立ち上がった被爆者たちは、原爆が心身にもたらす苦しみとたたかいながら、被害の実相を訴え、原爆投下の責任を問い続けてきた。核のない世界の実現を願い、次世代に伝えるメッセージ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽんくまそ
13
1945年被爆、1956年結成から2021年核兵器禁止条約発効に至る日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の今までの歩みを綴った本。特に強く書かれているのが、日本政府が「受忍」論を盾に国家補償を拒んでいることだ。この答申を作った懇談会の座長が茅誠司というのが胡散臭い。この本では、核の傘とは核による脅迫と言い切る。核兵器は絶対悪であることが世界の常識になっていく一方で、当事国の日本で逆行している。個人の感想としては、まず謝罪と補償を加害国である米国政府へ求める必要を考える。2022/11/18
さゆう
2
原爆投下直後の惨状とそれから体を蝕む原爆症に悩み続けてきた被爆者たちが「ふたたび被爆者をつくらないために」、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)を結成し、どのような活動をしたかをコンパクトにまとめた一冊。核兵器禁止条約を核保有国や日本ではなく中小国家が批准しているのが印象的でした。また、被爆者の平均年齢は84歳らしく、いつか世の中に被爆者がいなくなった時、どれだけ風化させずにその体験を伝えられるのかが気になりました。2022/07/31