出版社内容情報
ふたたび被爆者をつくらないために--一九四五年八月の原爆投下によってこの世の地獄と化した広島と長崎。その苦難の中から立ち上がった被爆者たちは、原爆が心身にもたらす苦しみとたたかいながら、被害の実相を訴え、原爆投下の責任を問い続けてきた。核のない世界の実現を願い、次世代に伝えるメッセージ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
27
2024年にノーベル平和賞を受賞した日本被団協の要求と活動がまとめられた冊子です。核兵器は非人道的な無差別大量破壊兵器であり、我が国は唯一の被爆国です。残念ながら、我が国は核兵器禁止条約に参加していません。同盟国であるアメリカの「核の傘(拡大抑止力)」の下で、核兵器を持たない我が国の安全が守られている理由によります。選挙で選ばれた為政者の判断で、核兵器禁止条約に参加していないわけですが、それが正義か否かは私にはわかりません。ただ、私に出来ることとして、核廃絶世論には積極参加していこうと思いました。2025/03/04
おせきはん
27
「ふたたび被爆者をつくらせない」との決意のもと、世界に核兵器廃絶を訴え続けてきた日本被団協の活動の重みを理解できました。被爆者を含め戦争による民間人の被害を国として補償しないとする「受忍論」については、本当にそれでよいのか、強い違和感が残りました。2025/01/18
ロビン
16
2024年度のノーベル平和賞に被団協が選ばれた。被爆され、地獄の苦しみと絶えざる不安のなかで「ふたたび被爆者をつくらせない」との決意をもってこつこつと活動してこられ、2023年に発効した核兵器禁止条約にも多大な貢献をされた。本当に頭が下がる、凄いことである。日本政府がいまだに戦争責任に真摯に向き合わず、被爆者の方々に対して正当な補償を拒み、あの愚かな戦争で国民が受けた苦しみをも「受忍すべきこと」と考えているという話には慄然とした。核兵器を「抑止力」としてその存在を容認する考えを日本はもう捨てるべきだ。2024/10/12
ぽんくまそ
13
1945年被爆、1956年結成から2021年核兵器禁止条約発効に至る日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の今までの歩みを綴った本。特に強く書かれているのが、日本政府が「受忍」論を盾に国家補償を拒んでいることだ。この答申を作った懇談会の座長が茅誠司というのが胡散臭い。この本では、核の傘とは核による脅迫と言い切る。核兵器は絶対悪であることが世界の常識になっていく一方で、当事国の日本で逆行している。個人の感想としては、まず謝罪と補償を加害国である米国政府へ求める必要を考える。2022/11/18
かみかみ
7
1956年に設立されて原水爆の被害の実情と核兵器廃絶を世界に訴え続け、今年ノーベル平和賞を受賞した被団協の取り組みをまとめたブックレット。昔は非戦や平和への取り組みは無意味だと思っていたが、浅はかだった。二度の原爆投下以降、実戦で核兵器が使用させてこなかったことには、被団協の貢献によるところも大きいと思う。そして、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約に、唯一の被爆国であるわが国が不参加であることへの怒りが滲んでいる。2024/12/24
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