出版社内容情報
労働力ではなく,人として外国人労働者を受け入れるには.2018年末に成立した改定入管法を踏まえた新版.
内容説明
2018年末に成立した改定入管法により、外国人労働者の受け入れ拡大が進められている。だがそこでは、彼/彼女らは労働力として扱われ、人として受け入れる視点が欠けている。移住女性の状況や子どもの教育、ヘイトスピーチや国籍の問題などにも目配りしながら、すでに日本で働き暮らしている、そしてこれから来日する外国人/移民と共に生きる多文化社会への途を考察する。
目次
第1章 外国人労働者はどう受け入れられているか
第2章 人口減少・超高齢社会と外国人労働者
第3章 移住女性の権利を守るには
第4章 社会的・文化的受け入れ態勢を整える
第5章 多文化社会を共に生きる
著者等紹介
宮島喬[ミヤジマタカシ]
1940年生まれ。お茶の水女子大学名誉教授。専門は国際社会学。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学教授、立教大学教授、法政大学教授を歴任
鈴木江理子[スズキエリコ]
1965年生まれ。国士舘大学文学部教授。専門は移民政策。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yukiko
8
2019年10月現在の日本の外国人受け入れ制度のあり方を網羅的に説明し、人権の観点からの問題点をしらみつぶしのように挙げている。目配りがよくて、わかりやすい。2019/12/31
ブルーツ・リー
6
これから外国人労働者を受け入れるに当たって、現在外国人労働者の人権が余りにも蔑ろにされているのではないかと指摘した書。 恐らく、その通り。 本来「労働力」などという存在は無く、労働力として受け入れる存在は「人」である。 人である以上、人権があるのは当然である。外国人労働者に、権利と義務の両面を与え、単に使い捨ての道具ではなく、人間としての権利と責任の中で生活して貰うのは当然である。 もちろん、日本の文化やルールを守って貰う事も同時に行った上で、人間としての権利を守るのは、当たり前の事である。2022/02/11
May
5
外国人労働者に関わる、外国人労働者側に立った視座から見たいくつかの課題の概要を記したもの。一つの課題を掘り下げるものではなく、また、課題解決策を具体に記することもない。外国人問題の概要を知りたく手に取ったわけで、実は十分な内容なはずなのだけれど、また、ブックレットなのだから当たり前なのだけれど、物足りなく、散漫な印象を持ったしまった。まぁ、もっと深く知りたいと思ったということなんだから、外国人問題に目を向けてもらおうとする著者たちの思惑どおりになったんだろうね。2024/05/30
安藤 未空
1
外国人を労働者として受け入れるのであれば、彼らに対して、たとえば、日本語教育の機会を与えたり基本的人権に含まれると考えられる家族の帯同を認めるべき。その場合は、子どもの教育機会も提供するべき。 この本の主張は至極真っ当だとは思うけれど、外国人労働者受け入れに対するそのようなコストを払う体力が現状の日本にはない。 そうであるなら、外国人労働者に日本の対応を理解したうえで、それでもなお日本に来たいか選んでもらうしかないのではないか。 日本における外国人労働者受け入れの経緯と法律上の扱われ方はわかりやすかった。2024/01/30
YN
1
決して長くはないが短く問題の所在、現状、著者が考える解決策のあらましが分かる。 政府の言っていることとやっていること、その実態が、時の流れや時代背景の中で大きく変化するなか、どう向き合うか。 割りと融和的な処方箋が提示されるが、予算との兼ね合いで何を優先させるのか。それは立法府や行政に委ねられるのかもしれないが、一案が示されると、より著者のコミットメントが感じられて良かった。2021/05/22
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