出版社内容情報
核兵器の「終わりの始まり」を告げた核兵器禁止条約。その内容と成立までの経過、現在の課題を報告。
内容説明
ノーベル平和賞受賞!核兵器禁止条約とは―核なき世界への道筋を示す、画期的な条約が成立!条約ができるまでの経過と背景、そして成立後の課題を、ICAN国際運営委員が丁寧に解説。
目次
第1章 世界に広がる核の脅威
第2章 国際法で兵器を禁止する
第3章 核兵器禁止条約への流れ
第4章 核兵器禁止条約の構想
第5章 日本という抵抗勢力
第6章 世界を動かす市民運動
第7章 ついに成立した核兵器禁止条約
第8章 今後の課題―懐疑論に答える
著者等紹介
川崎哲[カワサキアキラ]
NGOピースボート共同代表。1968年東京生まれ。東京大学卒業後、ピースデポ事務局長などを経て2003年より現職。2009~10年「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」でNGOアドバイザーを務めた。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)では2010~2012年副代表、2012~2014年共同代表、2014年7月以降国際運営委員。恵泉女学園大学で非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吟遊
12
80ページの好著。核兵器禁止条約が成立して、新板にあらためられた。サーロー節子さんの言葉で結ぶ。 軍縮と核軍縮の大局的なポイント、歴史がわかりやすい。2018/05/10
ぽんくまそ
9
読んだばかりですぐ再読。マレーシアやノルウェー、南アフリカ共和国といった小国政府が世界を巻き込む反核行動の火蓋を切っているのを知ると、世界は親米vs親中露などといった単純な2極に分けられているのではない現実が見えてくる。とても小さい国であるマーシャル諸島が国際裁判所に核保有国全部を訴えたこともある。生物兵器や化学兵器の禁止も核兵器禁止への有効な既成事実だったのだ。核兵器という既成事実には、こういった反核行動の既成事実の成果を積み上げていく。それを嘲る声への論破は全てこの本の中に書かれている。2022/10/29
ぽんくまそ
9
タフネゴシエイター=粘り強き交渉者。この言葉が浮かぶ。日本が不参加の核兵器禁止条約が成立するまでの歴史と課題を間接的な当事者である日本人ICAN委員が冷静に分析しつつ語る。核保有国が不参加なので無駄なことかという思いは正直、自分にもあったが、非核側の多くの政府と市民が包囲していくことで核保有国が居心地悪くなってきているようなので、無駄ではないのだ。ウクライナ危機でプーチンが核を使うかもしれない今、この条約は間に合わなかったのか、それともある程度の抑止効果を及ぼしているのか。アベスガ反反核政権が恥ずかしい。2022/10/18
ぱせり
5
情けないけれど「ICAN」という運動の名前さえ最近まで知らなかった私がこの本を読み、勇気が湧いてくるとけろりと言ってのけるのもどうかと思う。でも、正直、それが一番大きな感想だ、恥ずかしいけれど。「諦めるな。踏ん張れ。光が見えるだろう?そこに向かってはって行け」瓦礫の下でサーロー節子さんが聞いた言葉だった。2018/10/28
小林涼太
3
核廃絶に向けて、どのような展開をしていったのかが、大変分かりやすく書かれている。また、過去の惨禍を元に倫理的規範を用いて、廃絶に向かおうとしている点もよく強調されており、一貫している。 その一方で、安全保障に対する認識がかなり甘いのではないか?という点は否めない。というか、安全保障に対する主張がまるで一貫しておらず、もう少し体系的に書けなかったものか、と思うことの方が多い。 国際政治を踏まえて、核廃絶志向を読み解いていった方が、より核保有国を説得させるための理論を立てられると感じている。2024/03/20