出版社内容情報
原発と原爆を一体のものとして批判していた丸木位里・丸木俊夫妻の先見性が、3・11以後、改めて注目されている。二人の共同制作《原爆の図》はいかに描かれ、それがもたらした衝撃とはどのようなものだったか。二人の生い立ちと遍歴、そして美術史的にも再評価が進む《原爆の図》について、丸木美術館の学芸員が語る。カラー図版多数。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真琴
7
埼玉県東松山市にある「原爆の図丸木美術館」を訪問したきっかけでこの本を読んだ。原爆の図を描いた丸木位里・俊夫妻の生い立ちや制作過程、原爆の図について、日本のみならず海外での展示などについて書かれる。原爆の図もそうなのですが、南京大虐殺の絵から受けた衝撃も大きかった。「中国人が南京の絵を描いて日本に持って行ったら、あなたはどうしますか」(p 43)この言葉を目にしたときの衝撃は忘れてはならないと思った。2024/10/19
ぱせり
4
丸木美術館で購入。小さな美術館だからこそのゆずれないポリシーや信念などがいろいろな形になって美術館の内外にひっそりとおかれていることを知り「あれはそういうこと(もの)だったのか!」と膝をうったり、「戻ってそれを確かめたい」と思ったりした。この本は丸木美術館を訪れる前に読みたい絶好のガイドブックではないだろうか。2019/07/02
秋津
1
丸木位里・俊夫妻が制作した≪原爆の図≫を展示する、原爆の図丸木美術館の学芸員による夫妻の生涯、作品、そして≪原爆の図≫が問いかけるものについてのガイド。コンパクトな冊子ながらも、核兵器、アウシュヴィッツなど、彼らが取り上げる様々な題材の根底に何があるのか、「原爆」を通じ、何を表したかったのか、それが現在的にどのような意味を持つのかなど、著者の思いを強く感じた。また、第9部≪焼津≫における第五福竜丸の船影が当初富士山であったことについて、非常に興味を持った。2021/03/13
Ran Niizuma
1
p.62《原爆の図》は、絵の前に立つ人の持つ背景によって、いくらでも違った見え方をします。それはこの絵が、原爆という人類史上に残る惨禍を通して、いつの時代にも通じる「命」の問題を描いているからなのでしょう。それぞれの時代に、多様な経験を抱えた人が絵の前に立ち、自分の物語を見出していく。《原爆の図》には、そんな無限の可能性があるようです。2018/05/05
サバカレー
0
先日美術館に足を運んだ折に購入した2025/06/16