内容説明
LINE疲れ、快楽でなく不安からのスマホ依存、友だち関係を維持するためのいじめ、親友を作りづらいイツメン(いつも一緒のメンバー)同士のしがらみ…。子どもたちが「つながり過剰症候群」に陥る社会背景と心理メカニズムとは?「いいね!」を求めあう承認願望の肥大化と、それはどう関わっているのか?また、その隘路からの出口はどこにあるのか?大好評ロングセラー『「個性」を煽られる子どもたち』『キャラ化する/される子どもたち』に続く待望の第三弾!
目次
第1章 メビウスの輪の翳り(つながり過剰症候群;多様化する価値観 ほか)
第2章 つながりの格差化(豊かさから美味しさへ;新自由主義とリスク化 ほか)
第3章 「いいね!」の承認願望(暴走するつながり意識;SNSでの自己承認 ほか)
第4章 常時接続を超えて(肥大する承認願望;イツメンという世間 ほか)
著者等紹介
土井隆義[ドイタカヨシ]
1960年、山口県に生まれる。筑波大学人文社会系教授。社会学。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程中退。博士(人間科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
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テンちゃん
114
ネットの世界に初めて参加した時、新しい世界に驚きと感動があった(^○^)言葉とは違った文字による対話が楽だった昔が懐かしい(о´∀`о)なれてくると表現が誇大化したり、意地悪なメールに困った事もあった!ナイスしなければ自分が除け者にされそうになる(>_<)やがて文字を慎重に選ばなければならない状況に追い詰められる(*_*)自分がメールで認められる事で携帯の返信ばかりが気になる!毎日続くと、頭がへんになる!頭はメールの事で一杯!やがて返信すらなくなり、頭が混乱する!ネットいじめ!情報モラルが問われる時代!2015/08/04
ネギっ子gen
55
【LINE疲れ、快楽でなく不安からのスマホ依存、友だち関係を維持するためのいじめ】子どもが「つながり過剰症候群」に陥る社会背景と心理メカニズムについて考えた、ブックレット。<今日のいじめ問題では、殴る蹴るといった肉体的な暴力よりも、いやがらせや暴言など精神的な暴力のほうが目立つようになっています。そのため、いじめの舞台も学校空間に限定されることなく、ネット空間に広がってきました。/被害に遭うのを避けるために気を遣って常時接続を止められず、仕方なくネット依存に陥ってしまう子どもたちも見られるほどです>と。⇒2024/04/14
壱萬参仟縁
46
ネットを介して作られる人間関係は可視性が低く、教師や親から見えない(10頁)。コミュ力は自由市場の貨幣と同等の役割を果たしている(30頁)。今日の子どもたちは、一人でいる人間をぼっちと蔑むようになっている。疎外を意味するため(37頁)。学食にぼっち席があったっていいだろう。うるさい群集心理が不愉快だから。便所飯よりはまし。商人を巡る格差拡大を示唆しているのは、否定の衝撃の大きさと、承認時の安心感とのギャップ(54頁~)。承認格差とも言えよう。2016/02/06
katoyann
18
2014年刊。SNSによるコミュニケーションが一般化することにより、匿名的なキャラを演じるようになり、本当の自分を出すことが人間関係の中でしにくくなっている子どもの生きづらさを分析している。AKBの総選挙を分析しながら著者は、周囲から浮かないようなキャラが社会的に好まれるようになったと分析する。その背景にはインターネットによって強い同調圧力を内面化した子どもや若者の社会適応戦略が透けて見えるという。こうして関係を維持するためのキャラの演技が常時求められることが友情を表層的な関係性に変えてしまったとする。2024/03/29
かやは
15
現在はフラットな関係性が良しとされている。「意識が高い」などと揶揄されたり、友達感覚のアイドルが愛されるのもそのせいだという。人は承認欲求を満たしたい生き物であるが、フラットな関係性同士での承認は充足感も軽くいくら数を重ねても真の満足には至らない。普段はフラットに親しむ関係であるがときに尊敬し合える、そのような相手とお互い承認し合えれば、充足感は増すだろう。人間関係は互いの衝突を契機にそのあり方が見直され、再構築されるという。すぐ断ち切れてしまうような人間関係をいくら構築しても、満たされないということだ。2014/09/29