出版社内容情報
学徒動員先の長崎三菱兵器工場での被爆を描いた小説「祭りの場」以来,人が被爆体験を抱えながら生きることの意味を,深く静かに問い続けてきた作家林京子.戦時下の上海で過ごした幼少時代,引揚げ後の被爆から,福島原発事故によって再び眼前に「核」が突きつけられた2011
内容説明
学徒動員先の長崎三菱兵器工場での被爆を描いた小説「祭りの場」以来、人が被爆体験を抱えながら生きることの意味を、深く静かに問い続けてきた作家、林京子。戦時下の上海で過ごした幼少時代、引揚げ後の被爆から、福島原発事故によって再び眼前に「核」が突きつけられた2011年3月11日まで―その生涯を、作品と重ねて語る。
目次
1 原点としての上海
2 『祭りの場』『ギヤマンビードロ』の頃
3 「トリニティからトリニティへ」の思い
4 「長い時間をかけた人間の経験」と「希望」
インタビューを終えて(島村輝)
著者等紹介
林京子[ハヤシキョウコ]
1930年生まれ。著述業。1977年、「祭りの場」で第77回芥川賞受賞
島村輝[シマムラテル]
1957年生まれ。フェリス女学院大学教授。日本近代文学、プロレタリア文学専攻。「逗子・葉山9条の会」事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
3
大学生の時原爆に関する著作を買い集めた。この本は林京子さんの訃報に接して手に取った。林京子さんがいちばん訴えたいことは何か。長崎の原爆を女学校在学中に経験して焼け野原を命からがら生き延びたご経験された林京子さんが大人になってアメリカの核実験施設を見学する機会を得た記述がある。アメリカ核実験施設の警備の厳重さが描写されている。原子力の平和利用なんてあり得ないという論者である私は原発反対論者だけれども日本の原発もどの程度の警備なのか気になる。テロなどに遭ったら日本の美しい自然はひとたまりもない廃墟と化す。2020/03/15
あや
2
大学生の頃原爆に関する著作を買い集めていて林京子さんの著作もたくさん買って今でも手元にあるけれど後回しにしてまだ読むことができていない。そんな中で先日林京子さんの訃報。お友達が30代~40代の時に数多く亡くなったのに被爆者認定されず闇に葬り去られているという記述。核実験施設訪問やアメリカでの講演経験。核廃絶に向けての動きが鈍る昨今林さんが生涯をかけて伝えようとしたことを遺された私たちが次の世代に伝えていかなかえればならない。2017/03/19