出版社内容情報
命と暮らしは生産調整できない.にもかかわらず,それを強いられ続ける有期雇用.契約更新確保のために,飲まざるをえない低条件.働く人の三分の一以上が有期雇用であるデフレ下の現在,求められるべき労働の形を,現場の多くの声から伝える.雇い止め・派遣切り・条件切り
内容説明
「景気の調整弁」として、コスト化された人件費削減のツケを、「自ら選んだ」働き方だからと押し付けられ続ける有期雇用労働者。しかし、生活も命も、生産調整できるものではない。リーマンショック以降、危機的状況といわれるその労働と生活が、大震災を機に一層深刻の度を増している。現場からの多くの声が伝えるその実態とは。
目次
1 有期雇用の最前線
2 非正規雇用とは何か
3 有期雇用改革
著者等紹介
中野麻美[ナカノマミ]
弁護士、1975年北海道大学卒業。79年弁護士登録。NPO派遣労働ネットワーク理事長。日本労働弁護団常任幹事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hisaos
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フィラデルフィア宣言やILOの雇用・労働に関する各条約、ディーセント・ワーク、ジェンダー論を取り上げつつ非正規雇用がいかに産業社会の基盤を毀損しているか訴える小論。 2011年半ばの著作で、当時著者が指摘した雇用や労働環境に関する問題点は依然存在しているとは感じる。ただし、正社員の労働環境も悪化の一途をたどっているため、単に正社員(無期雇用)への転換を勧めただけでは問題点は解決されない。2015/07/25
ゆう。
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非正規雇用の広がりが、日本の雇用を破綻させていることがわかると思います。著者は非正規雇用に対して身分的差別という用語を使っていますが、資本による差別構造が正規と非正規との差別を作り出しており、それは両社にとって共に不安定低賃金雇用の負のスパイラルを生むことにつながるのではないかと、読みながら考えました。 ディーンセント・ワークの意味を深く考えたいと思いました。2013/09/06
井上岳一
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非正規雇用の問題点を弁護士が鋭くついた小冊子。非正規雇用の問題は貧困やDV、子どもの虐待などとも結びつく大変な問題。CSRを叫ぶ大企業が、非正規職員は変動費と切り捨て、平気で派遣切りをすることの矛盾。雇用の問題が解消されないと日本の貧困問題は解消されない。しかし、企業側にしてみれば、少しでもコストカットしないと生きていけないわけで…。非常に悩ましい問題。2012/07/19
壱萬弐仟縁
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今日は憲法記念日で、働く権利の意味が問われていると思って借りた。で、同一労働同一賃金の制度化は困難で、職業選択の自由とはいっても、百歩譲っても、なかなか時間や賃金や交通費や場所での、求職者の思惑は叶わないことがほとんどではなかろうか。本著は、有期雇用の半年から1年以内での契約が多いというデータを示しつつ、昨今の日雇いとしての大型バス運転手による取り返しのつかない事故があり、働く人の権利が保障されていない現状をなんとかしなければ、と強く思った。2012/05/03