出版社内容情報
現代人に対話をよびかけながら,生まれた時代に根をはっている.古典はひとつまちがえれば危険な存在だ.本書は古代文学の誕生,展開,没落の歴史的必然の解明を試み,日本文学史に画期的問題提起を行った労作の加筆決定版.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
「神わざと滑稽、悲劇と喜劇は、中世の能と狂言の関係にもみられるように元来一双のものであった。鎮魂祭、大嘗祭、神楽、と日を追い形を違えてやられているが、実は同じ祭式の分化と見ていい。そして神楽も鎮魂の歌舞であった。何のための鎮魂か。いうまでもなく穀霊としての天子の魂を更新するためである。降臨する神が宮廷の祖先神でもあり、穀神でもある天照大神でならぬわけがここにある。この意味からすれば、神楽の起源を天の岩屋戸の故事にもっていく通説も、まんざら捨てたものではない。が、それはどうも一足飛びにいきそうにない」2018/11/24