出版社内容情報
占領下オランダのユダヤ人狩.米国籍を持つバリーも両親と共に北独の強制収容所へ送られた.この世の地獄で見た汚辱と死.残虐と狂気.捕虜交換用の外国人として辛くも生還,一気に綴った16歳の記録.迫真の図版多数.
内容説明
占領下オランダのユダヤ人狩。米国籍を持つ一三歳のバリー少年もオランダ人の両親とともに北ドイツの強制収容所へと送られた。この世の地獄で見た汚辱と死。残虐と狂気。捕虜交換用の外国人として辛くも生還し、米国へ脱出後、一六歳の時にその体験を一気に書き記す。収容所内の写真、関係書類など、迫真の証拠を添えて40年後に公開する。
目次
1 五日間の戦時日記
2 旧世界へもどる
3 楽しかった日々
4 ドイツ野郎の横暴
5 小さなアメリカ人の力
6 高価な愛国心
7 ヴェステルボルクの四月〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
第二次大戦下、ユダヤ系オランダ人の両親の元でアメリカで生まれ、オランダで育った少年が11歳で両親と共に強制収容所に送られた日々を、戦後になって書き記した回想録。子供の視点で書かれており、食事の時には残飯を巡って子供同士が殴り合い、衰弱する両親を只見ている事しか出来ない日々が素朴な筆致で赤裸々で綴られる。この本の注目点は、連合国側の国籍を持つユダヤ人を敵側との取引に使うために設置された「交換収容所」。著者の一家が、1945年1月に中立国スイス経由でドイツ軍捕虜と交換され、解放されるくだりは緊迫感がある。2021/06/26
wei xian tiang
2
ホロコーストに関する真実を見極めるのは難しい。強制収容所のサバイバーが16歳で書いた手記となっているが,もちろん成人してからの加筆,修正がない訳ではない。問題は,加筆時点での後付けの知識で,記憶が誘導や再解釈を被っていないかということである。2019/02/07
コーキ
2
「ついに戸が引き開けられた。十二時間以上もたって、やっと吸った新鮮な空気、ほんとうにおいしい。密閉された小さな車内は、人いきれとあふれる桶のトイレの悪臭で、耐えられない状態だった。太陽は輝いているが、ぼくたちのために輝いてはいない。機関銃を持ち軍用犬を連れたドイツ兵の歓迎委員会がぼくたちを待っている」。(p170)2015/03/28
Artyom2033
1
利用価値のある米国籍なら生かし、支配下の国籍なら殺戮する。出征証明書やパスポートひとつで運命が左右される。それを大真面目にやっているドイツ人。呆れるしかない。正常性バイアスのせいか、脱出できる機会をふいにした父親。悔やまれる。お母様も後半生は穏やかな人生とはいえない。ベルゲン・ベルゼンは交換ユダヤ人が集められた場所でもあったけど、交換事業はナチスに利益をもたらさなかった。しかしユダヤ人である彼らには有益だった。★★★☆☆2024/01/26
ぽっこ
1
少年の目から見た実体験の書き方は、わたしは比較的すきな文体だった。けれど中身は重く、ほかの収容所体験などと同様に重いものだった2012/06/02