出版社内容情報
英会話は不得手.だが何事によらず考えるくせのある技術論の研究者がケンブリッジに留学.イギリス人の意外な世話好き,熟達の「バーゲニング」能力などに触れ,新しい角度から日本人と日本文化を考察した1年間の記録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
19
中岡哲郎の本にはずれなし。1979年、50歳をすぎて、ケンブリッジのジョゼフ・ニーダムの研究室に1年間、妻と二人の子供をつれて「在外研究者」として過ごし「いろいろ悪戦苦闘」した記録。イギリスで「日本村」を嬉々として作る愚かな日本人たち。世界各地からケンブリッジに集まった学者(及び志望者)たち。著者が個人的に知り合った各国の市井の人たち。人間どうしの生々しいつきあいの面白さで、一気読みしてしまった。2016/06/03
kokada_jnet
12
重要登場人物として、ジョゼフ・ニーダムの東アジア科学史図書館の敏腕司書かつ「学者の家系の娘」としてフィリッパ・ホーキングという人が出てくるのだが。この人、ホーキング博士の妹だよ! http://www.music-tel.com/maestro/Hawking/Ketsu.html2016/06/03
Hiro
0
実に素晴らしい本。外国滞在記の傑作の一つではないか。40年近く前のイギリス、ケンブリッジでの異文化体験の記録なのだが、恐らく少しも古びていない。コミュニケーションと語学の問題、異文化での生活力の獲得、相対化と相互理解、アカデミズムと実践の乖離、そして何より外国で生活する事の気の遠くなるような困難の数々、そうした事がしなやかに見事に書き込まれている。実は初版と同時に買って30年余も積読していた本。2016/08/13