同時代ライブラリー<br> イシ―北米最後の野生インディアン

同時代ライブラリー
イシ―北米最後の野生インディアン

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  • サイズ 新書判/ページ数 367p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784002600802
  • NDC分類 389.5
  • Cコード C0336

出版社内容情報

20世紀初頭のアメリカ社会に迷いこんだ最後のヤヒ族,イシ.快活で忍耐強く,恐怖と異和感を克服し,自立して凛凛しく生きる.イシの聡明な精神,自然との深い交感,彼を愛した「文明人」たちとの暖かい友情を描く.

内容説明

「石器時代」から「文明社会」へと跳躍した、最後のヤヒ族、イシ。本書は、白人の侵略に追われ、ひっそりと隠れ住んだ「未開」時代のイシと、カリフォルニア博物館に迎えられ、快活な忍耐心で凛凛しく生きた彼の最後の数年間を描く。イシの聡明な精神、純真な魂、自然との深い交感。彼を愛した「文明人」たちとの温かい友情を活写して、アメリカ西部史の新しい見方を示す名作。

目次

第1部 ヤヒ族イシ(畜殺場のほとり;黄金の国の銅色の人々;生きている種族;死に瀕した種族;全滅のエピソード;長い潜伏;ヤヒ族の消滅)
第2部 ミスター・イシ(刑務所のほとり;イシの新しい世界;博物館での生活;器用な人;最良の年;博物館での死)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

37
北米最後の、野生(保留地に強制的に送り込まれていない)インディアン、イシの話です。前半は彼とすべてのアメリカンインディアン達の受けたすさまじいまでのジェノサイドの記録に打ちのめされました。その恐ろしさを経験し、一人隠れて暮らしていた男性が孤独に耐え兼ね、死も覚悟して白人社会へ歩み出し、思わぬ友を得て短い一生を終えるまでの痛々しくも愛情のこもった記録です。この中では日本語と彼らの言語の共有部分をでたらめだと思っているようだが、アメリカンインディアンの歩みをたどると、ヨーロッパ人よりは似通っているはず。2021/07/05

シュシュ

28
最後の数ページで涙が滲んできた。現代人は文明人ではあるけれど賢さを失っている。本当に賢いのはイシたちだと感じた。「親切で勇気があり、自制心も強かった。そして、彼はすべてを奪われたにも拘わらず、その心にはうらみがなかった。彼の魂は子供のそれであり、彼の精神は哲学者のそれであった/356頁」イシたちの見解では、生者と死者とは別の世界を持っているのだから、死者のことをあまり考えるのはよくない、程ほどにしてそれに溺れてはならないという。ル・グウィンの序文がとてもよくて、ゲド戦記とイシはつながっていると感じた。→2016/05/20

Ayumi Katayama

18
何度か繰り返される言葉がある。「やさしい微笑み」。イシを評した言葉だ。「ディア川で泳ぐイシ」という写真がある。この写真が「やさしい微笑み」。その表情を見る度に胸が締め付けられる。あの人生を生きたその果てにこの微笑みを持ち得るのか。微笑みと共に、背負ってきた苦難の人生がより一層重くのしかかる。2021/09/18

あずき

17
石器時代から、一跨ぎで文明社会に来たヤヒ族最後の一人とされる「イシ」の記録です。前半は白人によるインディアン虐殺の事実が淡々としたためられています。後半は文明社会の中で、結核で亡くなるまでのイシの生活の記録です。たった一人で誰にも見つからぬように、自分が歩いた足跡をも消しながらこの世に存在しない者として生きる孤独とはどれ程のものであったろうと考えます。彼は最後までヤヒ族として自分の文化を忘れず、新しい生活に溶け込もうとしました。読了後、大きな溜息と共に何とも言えない行き場のない思いが込み上げてきます。2017/09/26

とまと

13
ル=グウィンによる序文のみ。のつもりであったが、その序文が素晴らしく、今積んでる本を読み終えたら、本文も読む。図書館で借りたが、購入して積んでおこう。「おごり高ぶって、勝手に作り出した孤独に悩む今日の人間に、自分はひとりぼっちではないのだと教えてくれるだろう。」という結びはパンチが効いている。2013/10/09

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