出版社内容情報
アジア諸国から天皇の戦争責任を問う声は厳しいが,私たちはそれに目をつぶりがちである.本書は「大東亜戦争」における昭和天皇の役割を歴史的に解明し責任の所在を明らかにした,この問題を考えるための必読書である.
内容説明
アジアの諸国から天皇の戦争責任を問う声は高いが、私たちはそのことに目をそむけがちである。本書は、信頼できる史料にもとづいて、中国侵略戦争から太平洋戦争、敗戦に至る過程での昭和天皇の役割を明らかにし、実像をリアルに描きだした。立場の違いをこえて、この問題を考えるための必読書である。
目次
1 天皇の権力および権威と戦争責任
2 国務大臣・内大臣・陸海軍首脳の任免と天皇
3 内政外交における天皇のイニシアチヴ
4 天皇裕仁と中国侵略戦争
5 天皇裕仁が対米英戦を決定した
6 天皇の戦争指導に降伏における役割
結び 天皇裕仁の戦争責任は明らかである
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
10
「天皇有責任論を徹底的に実証し論証し解明した」(江口圭一)。一々『木戸幸一日記』『杉山メモ』○ページと引用が示されるので事実・史料に圧倒され、確かにこれは井上のイデオロギーを抜きにしてもダイナミックで面白くぜひ全国民に読んでほしいが、しかしあくまで井上の解釈。同じ史料に依拠して正逆の本が八木秀次あたりなど書けるだろう。私には同じ事実と史料に基づきながらなぜ小林よしのりがあっちの方にいくのかという心性の方が興味深い。44年7月の時点で近衛と木戸は降伏時天皇退位で一致していた。真に日本を支配していたのは誰か。2018/09/13
VC
1
なんか色々ダメだ。日本について良い解釈の場合は証拠が無いや、確証が持てないと書いているが、中国については明白だとだけ書いて全面肯定。2013/04/14
たろーたん
0
戦争末期から降伏当時には、天皇に責任があると言うことは、政府や重臣も広く認めていた。興福寺の主将・鈴木貫太郎も、はっきりと天皇の戦争責任を認めている。内奏癖のある東条首相は、天皇がいかに重大な責任感を持って開戦をご決断になったかを述べている。対米英戦争の終結が天皇の裁決「御聖断」によるのとまったく同様に、その開始も天皇の責任を持った御決断によって行われた。1931年9月開始の中国東北地方侵略以来の不断に拡大した中国侵略戦争も、天皇の主体的な「御裁可」とその前後の「御内意」により実現されたのだ。2024/10/06