出版社内容情報
二百年の長い間，世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳．無実の罪によって投獄された若者ダンテスは，十四年間の忍耐と努力ののち脱出に成功，モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々進めてゆく．この波瀾に富んだ物語は世界大衆文学史上に不朽の名をとどめている．一八四一―四五年．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
15
【ガーディアン必読1000冊】エドモン・ダンテスが無実の罪で監獄に送られ巨万の富を手に入れて自らを陥れた男達に復讐する物語。森川久美さんの漫画『シメール』はこの作品に影響を受けている。復讐する相手も3人と同じ。新聞に連載されたそうだが復讐譚の行方を当時必死になって追い続けた読者の姿が見えるよう。ストーリー構成がうまいんですよね、多少荒技っぽいですけど。2006/09/05
さっさ
6
宝塚の原作として。外国文学の古典名作は実に学生時代ぶり。古い翻訳だったのもあり最初はしんどかったけれど、１巻半ば頃にはすっかり惹き込まれた。金田一少年とコナンで育った世代なので復讐といえば殺人と思ってしまうけれど、知略と財力を駆使して時間をかけて綿密に計画し、相手を社会的精神的に徹底的に追い込む。そして途中で自分の行いが本当に正しいのかと省みて悩み、断念しようと決意する展開も。復讐の物語として有名けれどそれは一面で、人間の物語だった。途中であちこち飛ぶ視点が一点に集約された時は爽快だった。2023/03/07
讃壽鐵朗
4
どうせだらだらとして面白くないだろうと思ったのが、意外にもまどろっこしい書きぶりではあるが、ストーリーテラーでありすっかり没頭してしまった。 大衆ロマン小説という評価だが、じっくり読めばそれなりに機微に富んだ諸々も書いてあり、やはり大人の小説と言うべきである。 しかも人物の多さとその複雑な関係に圧倒され、正にこれこそ西洋文学の極であり、とても日本人に書けるものではない。 いわば、ロマネスクなどのごてごてした文化と、わびさびの違いである。2013/12/16
こんぶ
1
１０代のころに一気読みして、その後も何度も読み返しました。よく知りませんがこの作品が発売された当時は大衆娯楽的な作品だったとのことですが、個人的にはそんな軽さは感じることもなく（世界的名著ですので当たり前ですが）圧倒されながら感動し、まんまは無理でも、気持ちだけはこのように気高く生きたいと思わせてくれる尽きることない勇気を与えてくれる作品です。
sararimac
1
大学生以来の再読。学生の時は、岩波を買って読む→古本屋→買い直し→古本屋の何サイクルかで昼飯代に化けた。 再読してみると、学生時代には教養が欠けていたのか良くわかる。今読んでみてようやくバックグラウンドが透けてみえてきた…浅はかな読書を反省しなくちゃいけないし、気になっていた作品はやっぱり再読しなきゃいけないと思い知らされる。70年代後半から80年代、若気の読書は見直さなければ。2016/07/09
