出版社内容情報
イスラム世界の民話・伝説が奔放不羈な空想の翼にのって燦然と花開いた説話の饗宴アラビアン・ナイト．恋と不思議と冒険の物語はもちろん，笑話，寓話，艶笑譚，武勇談に史話，逸話，ピカレスクから箴言警句まで，物語の愉しみが満ちあふれている．文学的香気豊かなマルドリュス版の全訳．カバーはヴァン・ドンゲンの絵．
感想・レビュー
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姫と王子の役割は倒錯的に入れ替わり、旧式は新式に取って代わり、漁師の網はあらゆるものを引き上げる。同じ展開の物語を細部を変えつつ語り続けることそのものが変奏の技巧であり、枠物語の連続や間テクスト的な詩という構造的立体性の魅力から、宝石のような比喩が煌めく表層的な差異の戯れの幻惑へ読者は誘われる。姫や王子が美しいのは十四日の月と同じくアッラーの御業であり、美は運命を引き寄せ、アッラーによって全てが成したもう証左となる。だがそれは決して神の気まぐれによるものではありません。起こったことが、ただ起こったのです！2024/05/26
