出版社内容情報
嵐のような心を持てあますゾフィア。暗がりや大きな音が苦手なトム。それぞれ親ひとり子ひとりの生活が気に入っていたのに、ゾフィアの父親とトムの母親が恋人になったことから、家族としての新しい暮らしがはじまった。互いを受け入れられないふたりは……。優しさとは、勇敢さとはなにか。注目作家が描く11歳の心。
内容説明
嵐のような心を持てあますゾフィア。暗がりや大きな音が苦手なトム。とつぜん「家族」になったふたりは、おたがいを受けいれられなくて…。やさしさとは、勇敢さとはなにかを問う、カーネギー賞最終候補作。
著者等紹介
ベーレン,カチャ[ベーレン,カチャ] [Balen,Katya]
1989年、ロンドン生まれ。大学で英語学を学び、大学院では自閉スペクトラム症の児童の行動に文章がおよぼす影響について研究した。特別支援学校や社会福祉施設で働き、2015年に発達障害を持つ人たちの芸術活動を支援する慈善団体を共同設立。20年、デビュー作『ぼくたちは宇宙のなかで』(こだまともこ訳、評論社)がブランフォード・ボウズ賞の最終候補となり、22年に『わたしの名前はオクトーバー』(同上)でカーネギー賞を受賞。その翌年、本書でふたたびカーネギー賞最終候補となった
原田勝[ハラダマサル]
1957年生まれ。東京外国語大学卒。翻訳家。ヤングアダルト小説を中心に英語圏の児童書の翻訳を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Incisor
5
活発で感情的なゾフィアと、小柄で内向的で暗闇が怖いトム。11歳のふたりが親の再婚で出会う。互いを受け入れられず、親にも反発する気持ちがそれぞれの視点で交互に率直に語られる。父と娘、母と息子だけだった暮らしから4人での生活、やがて家族に転機が訪れる。ゾフィアとトムの視点のみで語られるので、親の言動も子どもの目を通したもので、ついもっと心に寄り添い、言葉を尽くせばと特に父親に感じながらも、しっかりと自分と向き合いやがて互いを受け入れていく過程がとても頼もしく愛おしい。シドニー・スミスの装画がぴったりで美しい。2025/04/03
グーグー
4
カチャ・ベーレン、3作品目。表紙絵はシドニー・スミスで、印象的。荒々しい心を持てあますゾフィと過去のトラウマから暗闇や大きな音とを怖がるトム。二人は、突然家族になったが、お互いを受けられない。二人の行く手を待っているのは……。海と友だちが泡立つ心を穏やかにしていく。折り鶴がいい役目を果たしている。2作品は、こだまともこ翻訳で、この本は、原田勝翻訳。甲乙つけがたい。最初に読んだこの作家の『わたしの名前はオクトーバー』(こだま訳)が好きだ。2025/02/16