出版社内容情報
魔女に呪いをかけられたせいで、ふわふわ浮いて、けらけら笑ってばかりのお姫さま。重さがもどる唯一の場所である湖が魔女のたくらみで干上がり、お姫さまはしだいに弱っていきます。お姫さまに恋をした王子が命がけでのりだしますが……。マクドナルドならではのおとぎ話を、センダックの詩情豊かな線画が彩る、愛蔵版。
内容説明
洗礼式に招かれなかった魔女の呪いで、身体も頭のなかもかるくなってしまったお姫さま。すてきな王子さまに出会っても、お姫さまには、心というものがさっぱりわからず―。マクドナルドならではのおとぎ話と、センダックの詩情ゆたかな絵が響きあう。
著者等紹介
マクドナルド,ジョージ[マクドナルド,ジョージ] [MacDonald,George]
1824‐1905。イギリスの作家。スコットランドに生まれ、サセックスで牧師をつとめた後、ロンドンで文筆生活に入る
センダック,モーリス[センダック,モーリス] [Sendak,Maurice]
1928‐2012。アメリカの絵本作家、イラストレーター。ニューヨークで、ユダヤ系移民の一家に生まれる。1964年に『かいじゅうたちのいるところ』でコルデコット賞を受賞。現代の絵本界を代表する存在として、世界的に知られる
脇明子[ワキアキコ]
児童文学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
84
少し前に読んだ『金の鍵』と同じ装幀。そして今回もセンダックの細密でファンタジックな絵に導かれるようにしてお話の世界へと。『いばら姫』と似ていますが、このお姫さまは文字通り、かるいのです。魔女の呪いで身体も頭の中もかるくなってしまう。繋いでおかないと飛んでいってしまうし、落ちることもできません。それはともかくとして、人の心が分からず、何を見ても何が起こっても笑いを爆発させてしまう様子はなかなか怖いものがあり、それは人として悲しい姿でもありました。作者のメタ的視点からのちょっとした皮肉にユーモアも感じました。2022/06/15
アナーキー靴下
79
岩波少年文庫版で読んだけど、手元に置いておきたくて購入。終盤の、王子さまが水に沈んでゆくシーンが好き過ぎて、ろくな感想が浮かばない。何故好きか分析するなら、中盤から王子さまに没入して、お姫さまに恋い焦がれているのに、そのシーンで唐突にお姫さまの心に引っ張られて、お姫さまに没入した状態で世界を見るから。どれだけ愛されているか、それは私が一番よく知っている。しかし今、気付いた瞬間に失おうとしている皮肉。そのうえそれまでのお姫様の頭の軽さがなければ成り立たない。マクドナルドはファンタジーの祖にして頂点だと思う。2022/10/31
seacalf
65
少し前に読んだ『金の鍵』に続いてマクドナルドとセンダックの合作本。洗礼式に招かれなかった魔女の呪いで身体も頭の中も軽くなってしまったお姫さまを巡るお話。え、頭の中も?と思ったが、何が起こってもケラケラ笑うお姫さまを中心に、傍若無人な振る舞いをする王様や、真面目なようで少し変わってるお妃、そして救い主の王子様もどこか可笑しさがあって軽く読める。ルイス・キャロルが親しい友人と聞いて納得。あとがきを読んで、センダックの絵本をまとめて再読したくなった。2021/05/01
はる
55
幼い頃に読んだきりだったので久し振りに再読。魔女によって身体も心も軽くなってしまった王女様。いつも笑ってばかりの姿が悲しい…。でも、湖に浸かると普通の女性に戻るという設定がミソですね。王子様と王女様が月夜の湖で泳ぐ場面と、王子様が湖に沈んでいく場面は覚えていました。クライマックス、彼女が心を取り戻す場面がとてもいい。ロマンティックで楽しい物語。2023/04/28
とよぽん
53
『金の鍵』に続いて読んだ『かるいお姫さま』は、さらにエンタメ要素が効いていた。特に、王子が登場してから俄然面白くなって一気に読了した。それにしても、重さがなくなってしまう魔法をかけられた姫、という発想自体が奇抜。そしてセンダックの挿絵が素晴らしい。作者のジョージ・マクドナルドはイギリス、絵を描いたモーリス・センダックはアメリカのニューヨーク、さらに二人の間には100年ほどの時の隔たりがあった。にもかかわらず、このような素敵な本が作られたのは僥倖というべき。2021/03/22