出版社内容情報
第二次大戦中のリトアニア──画家をめざしていた十五歳のリナは、ある晩突然、ソ連の秘密警察に捕まり、シベリアの強制労働収容所へ送られます。母親と弟、仲間とともに、極寒の地で過酷な労働と飢えに耐えながら、リナは離ればなれになった大好きな父親のため、そして、いつか自由になれる日を信じて、絵を描きためていきます。人間の真の強さを描いた話題作。
内容説明
第二次世界大戦中のリトアニア―画家をめざしていた十五歳のリナは、ある晩ソ連の秘密警察に捕まり、シベリアの強制労働収容所へ送られる。極寒の地で、過酷な労働と飢え、仲間の死に耐えながら、リナは、離ればなれになった大好きな父親のため、そして、いつか自由になれる日を信じて、絵を描きためていく。不幸な時代を懸命に生きぬいた、少女と家族の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
138
子供や女性が経験しなければいけない事の酷さに読むのがつらかった。沢山のリトアニアの人がシベリアで働かされ、スターリンの死去後は、故国でソビエトに監視され続けた。彼らの解放は、ソビエトの解体まではなかったのだ。最後に連れていかれた極寒の地で、彼らにとって助けとなった、実際にいた人物サモデュロフ医師と近くに住んでいて物資を運ぶのを手伝ったエヴァンキ族は、人間の善意を忘れずにいられる微かな光だった。2018/01/26
たけ
42
今作は、第二次世界大戦中、ソ連の名簿に名前が載り送られる強制収容所の中に灯る小さな小さな灯り火のお話。 今この時代だからこそかける物語だと思う、同時に今でも意図的に隠されている歴史は、もちろんあるのだろう ソ連に関しては、よく知らなかったので学べて良かった。 中学生にオススメᕦ(ò_óˇ)ᕤ2021/02/13
鷺@みんさー
36
著者2冊目。一人のリトアニア人の(ブルジョア階級の)少女の目から、1940年代前半のソ連の占領下、シベリア送りの残酷さを描く。最近シベリア地方については興味が増し、私なりに多方面から読んでいるが、主人公のリナにとっては憎んでも憎みきれないNKVDはその実、密告による粛清の危機を常に抱えていた。また、遥か彼方へ「強制移送」されたリナたちも悲劇だが、突如共に働かなくてはならなくなった、現地の先住民族も困難の連続であっただろう。様々な人間模様の中で、気高さや隣人愛、極限での人間の逞しさを灯火に読み終えた。2024/08/12
Nobuko Hashimoto
31
受講生おすすめの本。たいへん興味深く、一気読みした。 ソ連に併合されたリトアニアから、1941年6月に強制的にシベリアに送られた人々の苦難の物語。バルト諸国の博物館を回ると、「占領」「虐殺」というと、ドイツによるものよりもソ連によるものの方が語られている。でも国外ではあまり知られていないのじゃないかな。今回読んだ本は児童書のくくりだが、かなり事実に即して書かれているようで、結構酷い場面が多い😢 ブログに詳しく記録。https://chekosan.exblog.jp/30517761/2021/05/07
ののまる
21
バルト三国(この本の舞台はリトアニア)、なんて哀しい歴史を背負っているのだろう。ソ連とドイツに蹂躙され、スターリンの粛清によって人口の三分の一が命を落とし、戦後もソ連から沈黙を強いられる。第二次世界大戦期にシベリアに、北極近くにまで強制労働で送られた人々の姿。著者あとがきにもあるように、このような事実があったこと、死んでいった人たち、それでも希望をもって助け合って生きた人々について「知って欲しい」。強制労働所でのささやかなクリスマス、誕生日会に泣きました。2015/12/18