内容説明
やわらかなユーモアに満ちた兄弟の冒険物語。オルレブの自伝的作品。
著者等紹介
オルレブ,ウーリー[オルレブ,ウーリー][Orlev,Uri]
1931年、ポーランドのワルシャワ生まれ。第二次世界大戦中、ゲットーや隠れ家住まいをし、ベルゲン・ベルゼン強制収容所で終戦を迎える。現在、エルサレム在住。1996年、国際アンデルセン賞作家賞受賞
母袋夏生[モタイナツウ]
1943年、長野県生まれ。ヘブライ大学文学部修士課程実用言語コース修了。オルレブの作品の翻訳を多数手がける。1998年、ヘブライ文学翻訳奨励賞受賞
小林豊[コバヤシユタカ]
1946年、東京都生まれ。立教大学卒業。1983年、上野の森美術館特別優秀賞受賞。絵本『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社)で産経児童出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
10
図書館本。「家族」「親戚」「遠い親戚」その人その人がとらえる範囲はいろいろだろうけれど、思わぬところでびっくりするほど血の繋がりを感じたりすることがある。そして思わぬ秘密が隠れていることも。ウーリーとイグアルの冒険を読み終えてその結末に、ああ良かった!と、ほっとしている。キブツの外にも居場所ができた。また一緒に記憶を共有できる人たちがいた。そして、亡くなった者たちも楽しげな者たちを見ていたいに違いない、きっと。2016/09/05
新田新一
9
イスラエルのキブツで暮らす兄弟のもとに手紙が届きます。それは彼らのおじさんからのものでした。父母と離れ離れになっていた二人は、自分たちの身内が見つかったことが嬉しくて、おじさんに会いに行こうとします。日本人には馴染みのない、戦争直後のイスラエルの様子が描かれた良い小説です。この兄弟のようにナチスの迫害により親を亡くした子供は多かったのではと思います。共同生活をするキブツの描写を興味深く感じました。紆余曲折を経て、二人が自分たちのおじさんと会う最後の場面は感動的です。2023/08/01
ヒラP@ehon.gohon
4
戦争で家族を失い、自らも強制収容所で生き残った兄 弟の物語です。 ホロコースト生存者名簿から名前を見つけたという奇跡的な偶然をもたらした、「遠い親せき」の手紙を頼りに、親せきのもとに無賃旅をする兄弟の大冒険にはハラハラしました。 希望への大冒険は、大成功でした。 活劇のようでもあり冒険ものの本好きにもおすすめです。 これが著者の体験を基に書かれている事を知り、戦争という魔物を見つめ直す資料でもあります。2015/06/13
Olga
3
ウーリー・オルレブの半自伝『砂のゲーム』の姉妹編ともいえる作品。イスラエルのキブツで暮らす兄弟に、親せきだと名のる男性から手紙が届く。2022/08/06
Olga
3
『砂のゲーム』の兄弟は終戦後、イスラエルに渡り、キブツで暮らしていた。2人が生存していることを知った親せきから手紙をもらい、こっそりキブツを抜け出して会いに出かける。冒険物語として楽しく読んだあと、巻末の訳者あとがきを読んで、キブツのことや当時のイスラエルについてなどについて知ると、物語の深みが増す。2019/03/06