出版社内容情報
現代アメリカの児童文学を代表する人気作家のはじめての作品集.最新作やこれまで翻訳のなかった作品も続々登場.思春期の子どもたちの微妙な心理や自立への姿をとらえた物語を,愛蔵版でお楽しみください.
内容説明
緊急通報の瞬間から、ひと言もことばを話さなくなってしまったブランウェル。いったい何があったのか。事件の真相とブランウェルの謎をつきとめるため、親友のコナーはある作戦を思いついた…。サスペンスに富む最新作。
著者等紹介
カニグズバーグ,E.L.[カニグズバーグ,E.L.][Konigsburg,E.L.]
1930年、ニューヨーク生まれ。ピッツバーグの大学院で化学を専攻。1967年、はじめて出版した2作品『クローディアの秘密』『魔女ジェニファとわたし』がニューベリー賞を競う。以来、おもに思春期の子どもたちの現実を映し出した意欲作を発表しつづけ、現代のアメリカ児童文学を代表する作家として活躍する。1996年『ティーパーティーの謎』で2度目のニューベリー賞を受賞。現在、フロリダ在住
小島希里[コジマキリ]
1959年、東京生まれ。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なっく
28
いつも大人の世界のドロドロとした話ばかり読んでる私にとっては新鮮なジャンル。この13歳というナイーヴで微妙な年頃には、親の再婚とか、性の目覚めとか、友達との距離感とかがとても大切でショッキングで残酷で、言葉を失ってしまうほどの大事件なんだよな。イギリスの中流階級ということでちょっと想像しにくかったけれど、作者が描きたかったことは分かるような気がする。私の13歳なんて田舎だったこともあって、もっと幼稚で単純だったけどね。2020/01/19
じじちょん
7
ある日、事件の起こった日に突然親友が話せなくなってしまった。保護センターに収容されてしまった親友と意思疎通するには…と試行錯誤する主人公。少しずつ明かされる真相。愚かな大人たちは事件を解決する方法に専念してしまって、親友の気持ちや本当のことに気づかない。不器用だけど、繊細な思春期の男の子の目線で書かれてるのがすごい。知的な大人のはずなのに、人の気持ちに対する鈍感さが浮き彫りになる。マーガレットお姉さんがすごく頼もしかった。2023/08/10
よし
6
はじめて アメリカの児童文学を読む。題からして興味深かった。なんでブランはしゃべれくなったのか?その謎解きを辿って読み進めていく。だんだんと思春期に体験する問題に迫っていく。その心の揺れが伏線になっている。「沈黙」は大人への入り口になっているのかも。2015/10/03
ちゃーちゃん
4
ブランもコナンも両親が再婚し、半分だけの兄弟を持った13歳の若者。カニグズバーグの作品を読むと、子供にとってはそんな不本意な状況を傷つきながらも乗り越えていく登場人物たちを通して、若者たちに乗り越える心の術を伝えてくれているように思う。良い本を読むと人生を学べますね。ちなみに私もこの本を読んで、ブランとコナーのやり取りの中で「誇りと恥は対局のもの。周りの人に恥をかかせてはいけない」ことを改めて学んだように思いました。普段ストレートにものをいう傾向があるので。2017/03/21
星落秋風五丈原
4
ブランウェルもそんな一人だった。父親の再婚後、微妙に変わった父親の自分 への愛情を感じ取り、義理の母や赤ちゃんとの接し方に戸惑って しまう。そしてそんな彼の心情を理解できるのが同じような立場にいるコナーの義姉マーガレット。マーガレットも父の再婚相手(コナーの母)に対してぎこちなく接してしまう。この二つの親子が、事件後、少しずつ、関係の修復へと向かってゆく過程が予断を許さない赤ちゃんの状態を時折はさみこんで、描かれる。読了後、大人でもない、子供でもない微妙な年令、13才だったかつての自分を思い出した。 2005/03/02