内容説明
「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。
著者等紹介
エスティス,エレナ[エスティス,エレナ][Estes,Eleanor]
1906‐88。アメリカのコネティカット州生まれ。1932‐40年、ニューヨーク公共図書館の児童部で図書館員として働く。『元気なモファットきょうだい』シリーズ、『百まいのドレス』がよく知られている。1962年に、さし絵も自ら手がけた『ジンジャー・パイ』でニューベリー賞を受賞
石井桃子[イシイモモコ]
1907年、浦和市生まれ。編集者として「岩波少年文庫」「岩波の子どもの本」の創刊に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
80
著者が経験した辛い体験を物語にした本でした。 子供達は、自分たちと少しでも変わっている子を排除というか、虐める傾向が今でもあるのではないでしょうか。母のいない貧しいワンダは、いつも同じ服を着ているのですが、ドレスを百枚持っていると話した事から虐めが始まりました。虐めの首謀者ともいえるペギーには、虐めているとの認識が無いのも、よくある話だと思いました。 ペギーの親友マデラインには、自分がされたらイヤだとの認識があり罪の意識を拭えません。 謝りたくても物理的に出来なくなった辛さがよく表れていました。2016/02/27
neimu
68
小学生の時に読んだのに忘れられない。100枚もドレスの絵を描くことは出来ないけれど、いじめられた哀しさや悔しさは忘れられない。100枚絵を描いても、昇華することは無いだろうと思う自分を思うと、情けなくなるのだが。傍観者でいることは、何を意味するのか。思い出す度に重い気持ちになる本だが忘れられない。
tokotoko
61
★アメリカ★この本は、逆境でがんばりながらも・・・くじけそうな人に、きっと勇気をくれると思います。楽しくて、面白くて、元気がはじけてて、悩みもどこかへ吹き飛んじゃう!という児童書も多い中、この本は、悩みに思いっきりぶつかり、考え続け、そして進んでいく女の子達が主人公です。言葉が少なく、周りに理解されない子も出てきます。けれど、言葉の代わりにね、ずっとあるものを作り続けてます。それがやがて、一筋の光のように、相手の心に届きます。作り続けるってことが素敵だなぁ、って思います。強くて美しいなぁ、って思います。2015/02/25
はる
60
読友さんの御感想から。少女達の繊細な気持ちが伝わってきます。独特の空気感は今と変わらない。人種差別の愚かさを、小さなドラマを通して描いています。石井桃子さんのあとがきで物語の背景が分かるのも嬉しい。2016/02/18
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
48
タイトルから気になっていた一冊。まさかイジメがテーマだとは思いませんでした。イジメに対して声を出すのは勇気がいるが、傍観している、見て見ぬふりはイジメと同じである。後悔先に立たずだと感じました。マデラインの変化した気持ちが、読者に少しても響き、自分がどう行動したらいいか考えるきっかけになって欲しいです。2021/12/25
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