出版社内容情報
静かないなかに,ちいさいおうちがたっていました.まわりに工場ができ,にぎやかな町になるにつれて,ちいさいおうちは,白いヒナギクの花の咲きみだれるいなかの景色をなつかしく思うのでした.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
317
バージニア・リー・バートン 作。原書は1942年の刊行。真珠湾攻撃があったのが、前年の41年の12月なので、まさに大戦中である。物語を読んでも、絵を眺めても、アメリカの豊かさには驚嘆するばかり。また、戦争の影はどこにも見当たらない。さて、本書だが、静かな田園の丘の上にあった小さなお家が、次第に都市化の波にさらわれてゆく。やがて、大都市の真ん中にポツンと取り残されて…というお話。絵は、この小さな家を真ん中に据えて、定点観測のごとく時間の経過を描いてゆく。その意味では、主人公はあるいは時間であるのかも⇒2025/10/05
やすらぎ
249
ちいさいおうちは知っています。本当に大切なものを。広い部屋や豪華な装飾品はないけれど、必要なものは揃っている。ここには空と太陽と星があって、いつも見守ってくれている。わたしの周りの人たちは、もっともっと便利になりたくて、それが不自然なことであっても、人より高い部屋に住んだり、着られる服を棄ててみたり…。求め続けたってきりがないのにね。人の欲は尽きないの。…沢山の人が住むこの場所も、ずっと昔は木々があり野原があり、四季が目の前にあった。…春が来て今日、ベランダの花を求めて蝶がやってきました。ちいさな幸せ🍀2021/04/24
Willie the Wildcat
174
初めての次男。読後、「家の引越し」を、アメリカで実際に見たことがあるよ、と話すと最初信じてなかった。そうだよね・・・。いつも感じるのは”人生”だが、今回は付け加えて”四季”。子供から大人になり社会に揉まれ、いつか生まれた”場所”へ戻りたいという願望、が前者。後者は日本の四季への望郷の念。桜、紫陽花、紅葉、大原の雪景色などが浮かんだなぁ。特に桜・・・。あぁ、日本酒!って感じですね。(笑)2012/06/24
HIRO1970
142
☆★☆単なる絵本ではない。芸術的ですらあります。栄枯盛衰。輪廻転生。2004/01/01
紫綺
140
以前、中島 京子さんの同名タイトルの本を読んだ時から気になっていた本。本当に、かわいいちいさいおうちのおはなしでした。どんどん発展していく町の中で、かわいそうな、ちいさなおうちの運命やいかに・・・。2013/05/19