出版社内容情報
ベルティルは,両親が働いている間ひとりでるす番をしなければなりません.ある日,ベッドの下から小人の男の子が…….スウェーデンの子どもたちが出会う小人や妖精たちを空想ゆたかに描きます.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
90
子供の頃から“こびとさん”のお話が好きで、今だにちまちました世界にとても惹かれる。ここに収録された9つのお話は、どれも子どもと小さい人(人間や妖精も含む)とが心を通わす短いファンタジー。ドールハウスを覗き込むような楽しさに満ちている。夜の公園でくるくるとスケートをするふたごのこびと。花盛りのりんご園でダンスをする妖精たち。美しい空想の世界は何十年経っても色褪せない。2017/06/08
混沌工房
16
小学生の頃に読んだリンドグレーンの『だいすきなおねえさま』を再読したくて、でもどの本に収録されているのかわからなくて、捜し続けやっと発見、ン十年ぶりの再読。バルブロには両親も知らない双子の妹、イルヴァ=リーがいる。今でいうとイマジナリーフレンドだろうか。ちょっと物悲しい物語。この他に収録されているものも、鍵っ子(?)が小人と出会ったり、足の不自由な少年が不思議の国へ行ったり、人形と冒険したりと、どこかさみしげで薄暗い、でも美しい九つの物語。2024/02/09
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
映画にもなっているんですね。『長くつ下のピッピ』の著者リンドグーレンの短編集。9話。淋しい子どもが淋しくなくなるおはなしばかり。 『 親指こぞうニルス・カールソン / だいすきなおねえさま / おもしろカッコウ / ぺーテルとペトラ / 五月の夜 / ミラベル / うすあかりの国 / 森のなかに、どろぼうはいない / 遊びたがらない、お姫さま 』2019/09/01
志田健治
5
お話の中に出てくる小さなゲストは、みな善良でかわいらしく、子どもたちの真の友達になってくれます。子どもが脳内に自分だけの友達を作り上げることは珍しくない、なんて言われますが、この作品集の中では、確信に満ちた子どもの世界に大人を入れさせまいとしているような、子どもたちの結社めいた隠匿性すら感じます。人生の一番美しくて幸福な時期はそこに隠されているような気もしてきます。個人的には『ペーテルとペトラ』が可愛らしかったです。大人にも見えるのが良いですね。挿絵も素晴らしく、『五月の夜』の妖精の踊るシーンは圧巻です。2015/02/22
omasa
2
子どもの頃、うそっこでね、と言って遊んだよね。それがもっと空想の世界へ行ける子だと、こうなるんだろうな。「おもしろカッコウ」病気で寝てるしかないつまんない時、鳩(カッコウ)時計を見て、鳩が生きてて飛んだら面白いだろうなって考えるよね。女の子は特に、お人形に名前をつけて話しかけたり、ごっこ遊びをするもんだ。遊べないお姫さまの話。おもちゃはあっても友だちがいなくちゃダメなんだと教えてくれる。まさに子どものための子どものお話。私は絵本にもなってる「ペーテルとペトラ」の話が好きだ。2020/11/01