出版社内容情報
別々に育ったふたごの姉妹ルイーゼとロッテが,ある夏のスイスの林間学校で偶然出会います.父と母の秘密を知った2人は,別れた両親を仲なおりさせるために,きばつな,けれども綿密な計画をたてます.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
270
戦後に書かれた(1949年)最初の小説だが、少なくても表面的には戦争の影はない。戦中はナチスに迫害されたケストナーにとっては、むしろそうしたものを払拭した明るい世の中を描きたかったのかもしれない。もっとも、物語の前提になっているのが両親の離婚なので、明るいばかりではないのだが。この物語はロッテとルイーゼのそっくりな双子の存在が前提になっており、次いでは互いの境遇を交換するというアイディアが物語を大きく動かしてゆく。イレーネ・ゲルラハという敵役も必須であったが、それは物語をわかりやすく、単純化する役割⇒2024/09/12
NAO
65
【女祭り】で久しぶりに再読。両親の離婚で別れ別れになっていた一卵性双生児ながら、環境と育てた親の気質の違いで、かなり性格がちがってしまっている姉妹の描き分けが面白い。父は好きだが母との新しい生活を満喫しているルイーゼと、父は好きだが母を思ってホームシックになるロッテ。どちらかというと二人とも母親びいきなのは、ケストナーの環境からくるものだろう。健気で働き者のロッテの姿は、そのまま少年ケストナーの姿でもあったのだろう。2017/05/24
天の川
48
明るい本が読みたくなって。離婚によって互いのことを知らなかった一卵性双生児がサマースクールで偶然出会い、互いの生活を取り替えて…。弾むような会話、!を多用した短いセンテンスで彩られた二人のいたずらな計画がとても楽しい。ケストナーはナチスに出版を禁じられていた大戦中にこの話を書き上げ、戦後、映画と小説の両方で発表されたという。現在、大変な状況のヨーロッパだけれど、早くこの状況から抜け出せるようにと祈らずにはいられない。小学生三年生になる春休みに買ってもらった、私の本の最古参の一冊。2020/03/17
紫陽花と雨
27
サマースクール的な学校で出会ったルイーズとロッテ、初めて会ったのに2人はなぜか容姿が瓜二つ。最初は反発していたけれど話していくうちにどうやら幼い頃離婚した両親に別々に引き取られて育った双子の姉妹であることが判明。2人はお互い会ったことない父に母に会うため、綿密に打ち合わせをして、こっそり入れ替わって夏開けそれぞれの家に帰るのですが…2人の作戦はうまくいくのか。昔アニメを見ていました、作品で読むのは初めてですが懐かしかった。 https://m.youtube.com/watch?v=hn5AH0_UcS02019/12/31
miki
15
ケストナーの児童文学には子どもの痛みを知り、大人や社会の不理解への批判が書かれていて、子どもにとっては痛快だろうな。お互いの出自を知り、その事実に喜び合い、さらには2人の力で周囲を変えようとする勇気。ケストナーの物語に描かれる、子どもの悲しみとそれを乗り越える仲間との協力がとても好きだ。2015/01/11