出版社内容情報
ミスタ・ホワイトが友人から譲り受けたのは、持ち主の願いを三つ叶えてくれるという猿の手のミイラ。しかし、その代償はあまりに高くーークラシックホラーの名品「猿の手」ほか、カポーティ、スティーヴンソン、キプリングなど、スリリングでひねりの効いた英米ホラーの傑作八編を収録。初訳・新訳多数のオリジナル短編集。
内容説明
たわいない願いが引き起こす悲劇、手をめぐる怪異、美しい館の秘密―スリリングでひねりの効いた英米ホラーの傑作八編を収録。カポーティ、スティーヴンソン、キプリングほか、初訳・新訳多数のオリジナル短編集。中学以上。
著者等紹介
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954‐。岡山市生まれ。翻訳家。法政大学社会学部教授。エスニック文学、マイノリティ文学、児童文学などを講じる。訳書多数。エッセイや、YAを中心とした読書ガイドなど、編著書も多い
佐竹美保[サタケミホ]
1957年生。イラストレーター。古典からSF、ファンタジーまで幅広い作品の装画・挿絵を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
岩波のこのシリーズ4作目が出ました。ホラー短篇集とはいうもののやはり金原さんの訳が非常にわかりやすく子供向けに書慣れているせいか若干怖さが薄れている感じがしました。ホラーというよりも幅が広くなっています。私はむかし「猿の手」を読んだときにはかなり怖く感じたものです。ビアスの「月明かりの道」も末に読んでいるせいか、あまり怖さを感じませんでした。やはり1回読んでいると感激が薄れるのでしょうか?2022/02/25
こら
79
実は初読だったジェイコブズ「猿の手」。設定、雰囲気、結末全てが素晴らしく噂に違わぬ名品!怖さで言えば断トツなのが、老女と謎の少女との邂逅を描くカポーティ「ミリアム」。あの『ティファニーで朝食を』の作者が二十歳のデビュー作で、これだけの作品をものにしていたとは!コウヴィル「首を脇に抱えて」は洒落たダークファンタジーという感じで世界設定が面白い。キラ−クーチ「小さな手」、キプリング「子どもたち」は幽霊譚だけど、それぞれホッとしたり何故か切なくなる読後感。今巻もバランスよく楽しめる良短編集でした。2022/08/06
ケロリーヌ@ベルばら同盟
69
英語圏の8名の作家によるホラー短編集。夜の闇がとても深く、月あかりやランプに浮かび上がる物の形が曖昧だった時代。小さな欲や喪失の哀しみが招く怪異、深すぎる愛が招く悲劇、霧深い街に響く不吉な足音の中から、名手達が括り出す人間の業。T,カポーティが若干19歳で発表した『ミリアム』が秀逸。NYの片隅で裕福ながら、空虚な日々を過ごす未亡人の心の隙間に、するりと入り込む不思議な少女は一体…。庭園が美しい屋敷に迷い込んだ男性が見た、幼子らと盲目の女主人の秘密を描いたキプリングの『子どもたち』は優しく寂しい余韻が残る。2022/06/13
NAO
62
『小さな手』には、「手」に関する話が3つ収められている。恐怖小説の代表ともいえるジェイコブズの「猿の手」は既読、ハーヴィーの「五本指の獣」もなかなかに不気味だ。表題作の「小さな手」は、古い屋敷に現れる子どもの幽霊の話。怖いというより、可愛らしい話。カポーティの「ミリアム」は、設定はよくある話なのだが、ゾクゾクっとする怖い話。ビアスの「月明かりの道」も、有名な話。芥川龍之介がこの作品に感銘を受けて「藪の中」を書いたというのも、有名な話。他3編。2023/07/25
ニミッツクラス
44
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の三・和洋折衷〉 22年(令和4年)の税抜760円の単行本初版。14年に第3弾まで出た岩波少年文庫(ソフトカバー単行本)の“ホラー短編集”の第4弾。8年もの間が開いたが値段は40円しか上がらず良心的。編訳者は平岡氏から金原氏に戻り、英語圏のほぼ鉄板の8話を収録。ハーヴィーの「五本指の獣」はビビリの主人公らのツメが毎回甘くて逆に笑える。スティーヴンスン「死体泥棒」は一般的に“後味の悪い”話と称されるが、献体制度の無い時代の解剖実習の段取りのドンブリさは良く判る。★★★★☆☆2024/08/19