内容説明
犬飼いの孤児ランダルは、ふとしたことから、騎士ダグイヨンの孫、ベービスの小姓として育てられることになった。ノルマン人によるイギリス征服の時代を背景に、二人の青年騎士の数奇な運命と、生涯をかけた友情を描く。
著者等紹介
サトクリフ,ローズマリ[サトクリフ,ローズマリ][Sutcliff,Rosemary]
1920‐92。イギリスの児童文学作家・小説家。2歳の時の病気がもとで歩行困難になり、のちに車いすでの生活を余儀なくされる。14歳で美術学校に入り細密画を学ぶが、1950年ごろから小説を発表する。ローマン・ブリテン三部作『第九軍団のワシ』『銀の枝』『ともしびをかかげて』(1959年カーネギー賞受賞)で、歴史小説家としての地位を確立した
猪熊葉子[イノクマヨウコ]
児童文学者・翻訳家。聖心女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
226
時代は11世紀・イングランドがまだ力弱かった頃、”七王国”時代と呼ばれ、1つではなかった。この時代ヴァイキング(主にノルマン人)の侵入が激しくなり、ノルマン人による国ノルマンディー公の影響を強くに受ける。そして1066年にエドワード懺悔王が亡くなると、ノルマンディー公ギョーム2世がヘイスティングズの戦いにて勝利し、ウィリアム1世(征服王)としてイングランド王となってノルマン朝が始まる。しかしウィリアム征服王亡き後、3人の息子(ロベール2世・ウィリアム2世赤顔王・ヘンリー1世)たちによる権力争いが勃発した。2019/01/14
ケイ
119
およそ1000年前の話。赤顔王ウイリアムの頃の話。岩波少年文庫の存在意義は大きい。しかし、イリアスを読んだ時も、筋はおえるが、きちんと岩波文庫のイリアスを読んだ時にあった迫ってくるものがなかったのだ。きちんとサトクリフを読んでみようと思う。騎士であるには、腹心の従者がいる。そして彼に従ってくれる荘園というものが。丘の上で、馬に股がったべーリスがディーンの荘園を見下ろし、そのすぐ後ろに馬に股がったランダルが誇らしげに並んでいる、そんな景色が観たかったな。2020/07/10
NAO
77
11世紀後半から12世紀初頭、ノルマン人のブリテン征服直後の時代。孤児で、自分が何かになりたいとか、自分はどこかに属しているとかいった感情を全く持たないまま育った孤児の犬飼いランダルの成長物語。大陸からの征服者であるノルマン人の一族が死に絶え、サクソン人の血をひくランダルが生き残るのは、イギリスの歴史を象徴しているようだ。そういった意味で、彼は「運命の騎士」なのか。【祝・生誕100年 フィリパ・ピアスとローズマリ・サトクリフを読む に参加しています】 2019/08/17
ケロリーヌ@ベルばら同盟
53
【生誕100年サトクリフを読む・岩波少年文庫創刊70周年】小さな島に波の如く多民族・多文化が押し寄せては引いていく混沌の時代。無慈悲な領主の館で、誰からも顧みられず、ただ気晴らしに蹴られ、鞭うたれ、空きっ腹を抱えていた犬飼のランダルは、騎士エベラードに引き取られ、その領地に伴われる。謹厳実直な騎士の薫陶、孫息子ベービスとの身分を超えた友情が、孤独な少年を成長させてゆく。血と信仰と文化が縒り合され、一つの国が生れる。その胎動の時期を、五感に訴える臨場感、美しい自然描写と共に抒情豊かに描いたサトクリフの名作。2020/06/01
たつや
51
サトクリフの最初の一冊に選ばなくてよかった。歴史的背景が不勉強のせいで、すうっと、入ってこず、読みずらかったけど、ろくでなしの子供ランダルが孤児になるところから始まり、ひきとり手がおらず、それでも運良く犬小屋で犬同然とはいえ、何とか生きていくことが出来た主人公のランダルが、騎士になるべく、成長していく。やや、冗長に感じるところもありましたが、数日、数回に分けて読めました。2017/03/04