出版社内容情報
魔法使いのゲドが〈影〉と戦ってから数年後,アースシーの世界では島々の間に紛争が絶えない.ゲドは平和をもたらす力をもつという腕環を求めて,アースシーの東,アチュアンの墓所へゆく.墓所を守る大巫女アルハは,幼い頃より闇の者たちに仕えてきたが,ゲドとの出会いによって,自らの世界に疑問を抱きはじめる…….
内容説明
ゲドが“影”と戦ってから数年後、アースシーの世界では、島々の間に争いが絶えない。ゲドは、平和をもたらす力をもつエレス・アクベの腕環を求めて、アチュアンの墓所へおもむき、暗黒の地下迷宮を守る大巫女の少女アルハと出会う。中学以上。
著者等紹介
ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.][Le Guin,Ursula K.]
1929~。アメリカの作家。カリフォルニア州バークレー生まれ。父は文化人類学者A.L.クローバー、母は『イシ―北米最後の野生インディアン』の著者シオドーラ・クローバー。『闇の左手』をはじめとする大人向けのSF作品でヒューゴー賞、ネピュラ賞など、数々の賞に輝く。「ゲド戦記」シリーズでファン層を飛躍的に広げた
清水真砂子[シミズマサコ]
1941年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
142
ハイタカは、今回は老師の役割となり、若いテナーがむしろ主人公だ。深い闇の世界。押しつぶされそうな圧迫感の中、話が進む。大巫女とは名ばかりで、実際には奴隷のように自由が無く、深い地の底に暮らすテナー。そこにハイタカが現われたという話。戦闘場面もドラゴンも無いが、テーマが分かりやすいので前作よりも面白かった。2023/07/22
NAO
61
再読。最初に読んだときは、話が冗長でゲドの動きがトロくてかなりイライラしたのだが、今回、ゲドの動きの遅さが分かった気がした。アースシーのために、平和少女を元の少女に戻すために自分たちが助かるためてはいえ、すごいよ、この忍耐力。2025/01/28
ネギっ子gen
52
【わたしはテナー。わたしは名まえを取り戻した。わたしはテナーなんだ!】再読。冒頭から、名前を奪われた少女・テナーの話が語られる。風に舞うアザミの綿毛のように林檎園の中を軽やかに駆け回っていた幼女は、アチュアンの墓所の“永遠に生まれ変わる”巫女に選ばれ、”喰らわれし者・アルハと呼ばれるようになった――。中段にきて、ようやく墓所の地下迷宮に、世界平和をもたらす力を持つ「エレス・アクべの腕輪」を求めて、ゲドが登場しテナーと出会う。だが、その直後に囚われ人になる。竜王たる大魔法使いであっても、闇の力は強大ゆえ。⇒2022/04/10
たつや
48
かなり、シリアスでクールな作品だと思います。巻頭に墓所や地下の迷宮の地図があり、その世界観の作り込みの巧みさに感心します。もしや?村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」にも多少影響を与えてる?とか考えるが地と違うか? まだ2巻目ですが、物語はまだ続くので気長に続きも読んでみたいと思う。今後の青年ゲドの人生に注目したい。2017/01/11
くたくた
43
初読の時には暗く重い印象が残っていたが、再読すると、テナーの若木のようなみずみずしさと、しなやかな強さがこれまた印象的だと思う。ゲドはまだこの巻では若者なんだけど、すっかりおじさん的な風格をまとっている。派手に呪文を唱えたり魔法が迸ったりはしないのだけど、暗黒の神々の膝元でゲドが黙々と全力で戦ったのだ、と納得。こののちのテナーの物語は、18年後?に執筆された『帰還』につながっていく。2025/02/20