出版社内容情報
ひときれのパンを盗んだために,19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの物語.19世紀前半のフランス社会に生きる人々の群像を描く大パノラマ『レ・ミゼラブル』の少年少女版.
内容説明
素性をかくして社会的な地位を得たジャン・ヴァルジャンだったが、警部ジャヴェルの疑いの目がつきまとう。慈しんで育てた孤児の少女コゼットは美しく成長して青年マリユスと恋におち、ジャン・ヴァルジャンは複雑な思いで見守る。中学以上。
著者等紹介
ユーゴー,ビクトル[Hugo,Victor]
1802-1885年。フランスの詩人・小説家。ナポレオン軍の軍人の子として生まれたが、10代の頃から文学に熱中した。1841年にアカデミー・フランセーズの会員に、45年には貴族院議員になる。51年ナポレオン3世のクーデターに反対して国外追放になり、19年の亡命生活を送ったが、70年、共和制の成立したパリにもどった。多くの詩集のほか、『ノートルダム・ド・パリ』(1831年)『レ・ミゼラブル』(1862年)『九十三年』(1874年)などの小説がある
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感想・レビュー
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chimako
78
こんな物語だったのだと改めて思う。世界中で読まれ演劇になり映画になり多くの人が触れてきた作品なのに縁がなかった。これは少年文庫ではなくしっかりと大人向けで読むべきだった。人をいかに許すか……人をいかに愛すか……いかに自分に正直になるか……上巻の終わりで幸せを与える喜びを知るジャン•バルジャン。許されたことに驚くジャヴェルは自分もジャン•バルジャンを許した事に茫然自失となる。自分に正直になると言うことは欲望に忠実なのではなく、良心に。心の平安はその苦しさの中に有るのだろうが実践するのは難しい。次は映画で。2014/11/21
Koichiro Minematsu
59
数奇な運命に生きたジャン・ヴァルジャン。社会悪の根源は貧困。しかし、それすらも自然の道理と言うのか。2021/05/02
しょこ
36
うわわわわ…想像以上にすばらしい作品だった。DVDのあのシーンこのシーンにはこういう背景があったのねと、文章で汲み上げる良さを実感。児童書でこの感動だと原作はもっともっと深みがあるのだろうなぁ(; ・`д・´)ひゃー。正義とは?法とは?このテーマは昔も今も変わらない。実際に、ジャン・ヴァルジャンの正義が、巡り巡ってジャヴェルを苛ませてしまったのでは…。そして悪党テナルディエは最後の最後までしぶとかった。笑。愛するものに見守られた最期、彼が幸福を感じることができたのが救いだ。出会えてよかった名作。2017/12/16
がいむ
21
子どもの頃に読んだとは思うけれど(「ああ、無常」という題名であったかも)やはり名作。しみじみと読むことができた。善悪の差はありながら、いずれも、貧困ゆえに社会の荒波に翻弄される人々をえがいている、という鹿島茂さんの解説がすべてを語っているように思います。2020/02/15
カラスノエンドウ
18
油断していた。春の陽気すら感じる冒頭に。読み進めるうち、不穏な気配が心に漂いはじめ、気付けばまた漆黒の闇の中。サスペンスに満ちたⅦ章は動悸や息切れと戦いながら、本を閉じては開く。 心を掻き乱され、静かに深く心に染みる作品。群像劇を読むと、まるで舞台を観ている気分になる。読み終わった今、頭の中で「アンコール!」が響き渡っている。2018/12/12
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