出版社内容情報
小学生のころ、ぼくはおもしろいことに気がついた。どうしてアゲハは同じ道を飛ぶんだろう? 少年はやがて研究者となりチョウの行動のふしぎを解きあかしていく。なぞを追って、世界を知るのはたのしい。動物行動学者が夢中で調べて見たこと感じたことを、失敗談もまじえて子どもたちに語る。【カバー画・解説=舘野鴻】
内容説明
小学生のころ、ぼくはおもしろいことに気がついた。どうしてアゲハは同じ道を飛ぶんだろう?少年はチョウの行動のなぞを解きあかしていく。動物行動学者が夢中で調べて考えたことをゆかいに語る。エッセイ2編も収録。小学5・6年以上。
目次
チョウはなぜ飛ぶか(チョウの飛ぶ道;オスとメス;色とにおいの意味)
エッセイ(思っていたこと 思っていること;今なぜナチュラル・ヒストリーか?)
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930‐2009。東京生まれ。動物行動学者。東京大学理学部動物学科卒業。学生時代は岩波書店でアルバイトをしながら、夜は大学で研究をつづけた。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所所長、京都市青少年科学センター所長などを歴任。1982年に日本動物行動学会を創設し、動物の行動から生きかたを探る学問を日本に広めた。生きもののふしぎをユーモラスに伝えるエッセイに定評がある。『チョウはなぜ飛ぶか』で毎日出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おーすが
16
子供の頃に芽生えた疑問「チョウはなぜ飛ぶか」を追って、アゲハ蝶のチョウ道のパターンを研究する。いや、研究というよりはむしろ、当初の疑問そのままに、なぜ?なんで?どうして?とただただ追いかけていく。日高先生の本は、そのまっすぐな気持ちに追従させてくれ、一緒に面白いことを発見させてくれる。環世界の一つだけしか知覚せず生きるのは悲しいと、思わせてくれる。巻末のエッセイから穏やかな人柄もうかがえる。かんじゅわるい、に笑っちゃった。2021/11/19
OHモリ
14
・著者が伝えようとした、仮説を立てて実験する、失敗してまた考えて仮説を立てて実験するというプリミティブな科学の本来の姿?も面白いが、ワシにとっては著者が調べた結果だけでも十分に面白かった。・分からないことがあればスマホで検索してすぐに答えを得るという経験を繰り返している現代の若者、いや私たちにとって、現状を考え直してみる必要があるのではないかと示唆を与えられたと思う。詳しくはブログ→https://plaza.rakuten.co.jp/drunk4374books/diary/202106010001/2021/05/29
順子
14
ユクスキュルの「生物から見た世界」を翻訳した人だと気づいて自分の感想を読み返したら「訳者の後書きが面白かった」とある。いやユクスキュルも良かったのよ、でも日高先生すごく良いです、おこがましいですが私と世界を見る目が一緒です。そんな事研究して何になる?って何にもならないただ知りたいだけ。生物学の世界は試行錯誤でダラダラしたフィールドワークで必ずしも結果が出るわけでなし。そこが良い。エッセイも親の世代だけど古く感じない。日高先生の他の著書も読もう。2021/04/16
みなみ
12
Kindle Unlimited で面白そうな本がないか探していて見つけた一冊。普段こういうジャンルは読まないが、岩波少年文庫ならとっつきやすそうだし読めるだろうと読んでみた。動物行動学者である筆者によるチョウの観察と研究の一冊である。チョウが飛ぶルートなどというものは考えたことことがない。植物の違いも良く分からない。だがこの本はとても読みやすく、チョウの謎を理解することができた。昆虫がなにを目的に行動するのかを様々な実験で実証していくさまがすごい。こんなにしっかりデータを取らないといけないのか…感嘆。2022/10/16
seraphim
12
小学校高学年から。元になっているのは1975年に書かれたもの。この本はどのようにして「なぜ」を調べていけば良いかがよく分る。そして、著者は調べていることの途中経過を書いているので、まだわからないことまで書いているのが良い。調べていくうちに、新たな「なぜ」が出てくるところも面白い。もし自分が「なぜ」にぶつかった時、こんなふうに調べられないと思う。もっと簡単にネット調べて、分からなかったらそれでおしまいにしてしまうだろう。探究心を持ち、それに真正面から真剣に取り組むことができる人達に、敬意を贈りたい。2020/09/03