出版社内容情報
美しい女性の姿をした北風に強くひかれた少年ダイヤモンド。北風のうしろにある不思議な世界へいってきて以来、家族や友だちを助けるようになる。
内容説明
北風のうしろの国からもどってきたダイヤモンドは、そこで聞いた小川の歌を口ずさみながら、ロンドンの貧しい暮らしにあえいでいる家族や友だちを助け、励ますようになる。空想と現実を自由にかけめぐる、19世紀イギリスの古典的名作。小学5・6年以上。
著者等紹介
マクドナルド,ジョージ[マクドナルド,ジョージ] [MacDonald,George]
1824‐1905。スコットランド生まれ。『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルなどとともにイギリス児童文学の黄金時代をきずいた作家の一人。サセックスでしばらく牧師をつとめた後、ロンドンに出て文筆生活に入る
脇明子[ワキアキコ]
児童文学者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
54
美しいものに触れると何故だか泣きたくなるような気持ちになる。それは心の奥底の琴線に触れるからか、上書きしてしまった無垢な心を思い出すからなのか。ダイアモンド少年の活躍を読んでいると、そんな思いに駆られる。病に倒れた父の代わりに辻馬車を操って家計を助けたり、枠物語のヒノヒカリ姫やナニーの夢など読み処は幾つかある。が、上巻にあったような北風と夜空に繰り出すような喜びに溢れた展開は少なく、最後も美しいがやはり物悲しさがつきまとう。ダイヤモンド少年、折に触れて思い出したくなるような忘れがたい登場人物がまた増えた。2022/05/29
Gotoran
40
ロンドンの馬小屋に暮らす少年ダイアモンド。ロンドンの雑踏、活気溢れる街、水溜まりやごみごみした様子。北風が吹き込む馬小屋に暮らすダイアモンドは、人への思いやりがあり、誇りを持って生きている。本書(下巻)では、北風のうしろの不思議な国から戻ったダイアモンドは、健気に辻馬車の御者として働き、産業革命期の生活に疲れたロンドンの人々に優しさを取り戻させていく。・・・最期は、物悲しい雰囲気が漂ってしまう。これが著者マクドナルドの死生観か。2020/01/26
鳩羽
16
父親の仕事を手伝い、母を助け赤ちゃんの世話をしと相変わらず善良な良い子のダイヤモンドは、周囲にもよい影響を与えていく。努力と辛抱は報われ、謙虚で誠実であることの美徳を読むことは、やはり嬉しいものだとも思う。現実世界が充実するに従って北風はあまり出てこなくなり、北風のうしろの国の思い出がダイヤモンドの善良さの根幹のようになっていく。唐突に感じられるラストは、人の世のあれこれや物語に一切頓着しない大きな手のひらに摘み取られたかのようで、ぼうっとしてしまった。2016/03/06
topo
6
美しくもの哀しい作品。 宗教色の濃い物語だけど、北風の腕に抱かれ旅するダイアモンド少年の姿が荘厳で幾度も読み返したくなる。 北風のうしろの国とは、文化や宗教に即した様々な呼称がある。その国に行く日まで、こんな素敵なお話を沢山読めたらいいな。2020/02/21
おだまん
4
現実世界の暮らしぶりが中心となり、ダイヤモンド少年を中心に登場人物たちのそれぞれの思いが交差する。そして、哲学的なラスト、やはり名作。2021/05/13