内容説明
河口の町ピン・ミルにやってきたツバメ号の乗組員たちは、ゴブリン号をあやつる青年ジムと知り合い、いっしょに川をくだることに。ところがジムがいない間に、船は錨を失い、河口から外海に流されてしまいます。小学5・6年以上。
著者等紹介
ランサム,アーサー[ランサム,アーサー] [Ransome,Arthur]
1884‐1967。イギリスの作家。リーズ大学中退後、『オスカー・ワイルド』など文芸評論を書く。1913年にロシアに赴き、昔話を集めて『ピーターおじいさんの昔話』を刊行。ロシア革命時には新聞特派員として活躍した。『ツバメ号とアマゾン号』(1930)にはじまるランサム・サーガ12巻で児童文学作家の地位を確立
神宮輝夫[ジングウテルオ]
青山学院大学名誉教授(児童文学)。1932年、群馬県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。「ランサム・サーガ(ランサム全集)」(全12巻)をはじめとするイギリス児童文学の訳書多数。第12回国際グリム賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
62
名作です。私が初めて読んだランサムサーガです。強烈な魅力を感じました。冒険小説であり極限の心理が描かれています。嵐の海でのジョンの決断、スーザンの葛藤、激しい心の動き、荒れる船に心が動かされました。ウォーカーのメンバーの個性が際立っています。あぁスーザン、約束を守り弟妹を守ることを第一に考える彼女に訪れた試練、「海に出るつもりじゃなかった」まさに題名の通りです。上巻の後半部分は読むのがつらかった。ジョンとスーザン、ティティとロジャ、四人が北海の荒海を子どもだけで進んでいきます。2021/06/08
たつや
49
タイトル通り、ジムと知り合い、ゴブリン号も登場し、思いがけずに海に出てしまう。船の専門用語多いなと思ってたら、各章の終わりに解説がつく親切な構成。読んでるこちらまで、船酔いしそう。夜の海の描写やブイとか、色々と目に浮かんで楽しくもある。2017/05/01
Die-Go
45
図書館本。ウォーカー家きょうだいは、ふとしたことで出会った青年ジムの舟に乗せてもらえることになった。その居心地の良い舟で一晩やっかいになることになったのだが、ジムが出かけている間にとんでもないことが。今回の冒険もトラブル続き。それが一本調子にならないところがすごい。 ★★★★☆2021/12/07
ユメ
35
子どもたちだけで外港へ流されてしまうという不測の事態の中、ジョンとスーザンの責任感が光る。しかし二人のそれは少し方向性が違っていて、スーザンが「おかあさんと約束したのだから、すぐにでも戻らなければ」と主張するのに対し、ジョンは「今戻るのは危険だ。おとうさんならそう考える」と言う。ジョンの方がより船乗り気質なのだ。ジムと知り合った場面で「君たち、帆船の経験があるんだね。」と訊かれたジョンは「とても小さいのを乗りまわしただけです。」と答え、こう付け足す。「つまり、ぼくたちだけで。」この心意気がジョンらしい。2017/11/13
hisa_NAO
23
つばめ号シリーズの中では、おそらく最も読んだ一冊。 母が実家の一室に開設した私設図書館には、単行本のアーサー・ランサム全集が全巻揃ってて、小学中学年くらいに初読して以来、何度も夢中で読みました。その中でも、一番気に入っていたのが、この話。 ジョン・スーザン・ティティ・ロジャー、つばめ号のメンバーが小型カッター「ゴブリン」号で、心ならずも流されて嵐の海を帆走する。それぞれの個性が出てて、ハラハラドキドキしながらも、ほっこりしたり。 久しぶりに読み返しましたが、今でも素晴らしく楽しい読書時間でした。2018/11/22