出版社内容情報
ある日ぼくの家に大きなおばけきゅうりが現れ,地下室にあるきゅうり王国から追放された王だと名のった.そしてその日から奇妙な事件がたてつづけに起こった.1973年ドイツ児童文学賞受賞作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
46
ドイツの6人家族の家に突如現れたのは、自国を追い出されたきゅうりの王様だった。すごいタイトルだと思っていたら、作品も直球でした。そして、家族も、一人、一人、個性的で当時の風刺もきっと盛り込まれていると思われる。現代の日本でいうと西加奈子が脱線気味に横道に話を広げるのに、少しにている面白さが随所にあった。最後、孤立気味のお父さんと、王様が家族に溶け込めずに居場所がなくなるところがオーバーラップする。痛快で荒唐無稽だが、どこか考えさせられる。不思議な作品。2017/01/26
ヒラP@ehon.gohon
14
きゅうりの王さまが突然現れたという非日常が、家族の間柄や様々な人間関係を試金石のように解きほどいていきます。 コメディタッチでありながら、洞察力、分析力は切れが鋭く感じました。 舞台の社会性については未消化なのですが、楽しく読み終えました。 登場人物の意外な部分が興味をひきました。2018/08/23
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
13
テーブルの上に50センチくらいあるきゅうりが置かれてました。まるでカボチャのようなきゅうりは王冠をかぶり、「余はトレッペリーデ二世であるぞよ」という王さまでした。悪い家来にだまされ助けて欲しいそうなのですが…。2020/08/16
サラサラココ
5
小2、「続けようと思えば延々と続きそうな話」らしい。2020/08/19
さくらもち
4
ある日、ぼくの家の地下室にある王国から現れたきゅうりの王さま。王さまは我儘で、家族の秘密まで探り出す。1973年ドイツ児童文学賞受賞。 おばけきゅうり登場という奇抜な展開の底に、60年代後半からの反権威主義を描いた作者の意図がうかがえる。(権威を回復しようとする王様+父親VS成長する子ども達+男性と同等の権利を求める母親)そしてまた、すべての子どもが経験する親離れの物語でもある。反発、確執を経て、新たな親子関係を築きながら、家族は育っていくのですね。2012/03/02