出版社内容情報
映画のただみ,おせっかいやにはネズミの死がいで復しゅう,雪原でのカーバイド遊び……チェコの田舎町を舞台に,わんぱくざかりの仲良し5人組がくりひろげるいたずらを暖かく描く.
内容説明
ぼくたちわんぱく5人組は、毎日それは忙しい。だって、面白いいたずらが次々に浮かんでくるんだもの。空箱を集めて街を作り火事遊びをしたり、ネズミをトランクに入れてお手伝いさんを驚かせたり、もちろんけんかもする…。アウシュヴィッツ強制収容所に消えた作者が、チェコスロヴァキアの小さな田舎町で過ごした黄金の子供時代に思いを馳せて綴った遺作。小学上級以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
49
国も時代も違うけれど、少年たちは集まればいたずらするものと、相場が決まっている。だけど、少し冗長に感じ、面白いけど、‥‥‥‥。と言う感じでしたが、あとがきを読んで、作者はユダヤ系のチェコ人でナチのユダヤ人迫害で強制収容所に送られ亡くなり、死後に発見された原稿を出版したと言う裏エピソードを読んで、衝撃を受けた。作者はどんな気持ちで書いていたんでしょうね?そう思うと、読書感想本を書くには良い本かもしれない。2017/04/15
NAO
47
チェコの田舎町、よろず屋をやっている中流家庭で勉強もまあまあの主人公を中心に、仲良し5人の日々が描かれている。いろんなことを思いついては次々に試しくっついたり離れたりを繰り返す彼らの日々は、ちょっとばかげているようでもあるけれど、間違いなくかけがえのない日々だ。この作品は、アウシュビッツで亡くなった作者の遺作になる。激しい差別と苦しい生活の中、作者は楽しかった子ども時代に思いを馳せていたのだろうか。2025/04/24
たくのみ
8
アウシュビッツに消えた童話作家の、少年時代を振り返る 幸せで楽しい子供たちの日常。 でも、はしばしに映し出される「差別」「偏見」「悲しい記憶」。 「なんにもしてないのに、なんでも僕のせいにされちゃうんだ」 そう、「やさしい」大人たちはユダヤ人というだけでペーチャ少年に 理不尽な対応をしているのだ。 夢の世界に遊び、疲れて、「なんて眠いんだ…」で終わる結末。 何を読み解くのか。読者も試されている。2014/08/27
ぱせり
8
ペーチャは懲りないワルガキである。美化していない分、リアルだし憎めないのである。作者カレル・ポラ―チェクはアウシュビッツで痛ましい死を遂げたそう。そう思うと、この物語の平和な世界に散りばめられたあれこれの言葉が、胸を突かれるようなメッセージに変わる。少年の「よしてくれよ。ぼくじゃないんだ。勝手にだれかがはじめたんだよ」は強烈だった。最後の章題は「心のたからもの そして再出発」です。でも作者には再出発はなかったんですよね。2012/01/27
ねこさん
4
何かを思い出そうとすればする程、それを思い出せない。病気の子供を慰るような両親や、気の置けない友人を包含する日常。それらが存在する世界を肯定できないまま読み進めてしまい、宮崎駿がなぜこの本を薦めていたのか全くわからないまま読み終えてしまった。結局のところ、子供らしさというのはなんなのだろう。それはある種の罪悪を感じるという能力において、今の自分と何ら変わるものではなかったような気がする。ペーチャが夢の中で無実の罪を弾劾されるようなものではなく、むしろ罪の確信であった。結局はその乖離が、この物語を遠ざける。2016/11/17