出版社内容情報
砂漠を横切ってカイロへと進む隊商に,どこからともなくあらわれたひとりの男が加わります.旅のなぐさめにくり広げられる商人たちのふしぎな物語.意外な結末も楽しい.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
65
【旅週間】『デカメロン』『カンタベリー物語』のスタイルをとった童話。特に目新しさはないものの、魔法もの、ゴシックホラー風、取り違え話など、ジャンルの異なる話は 飽きを感じさせない。そして、全体を繋ぐ話も、異国情緒にあふれている。2018/03/28
たつや
49
砂漠を進む隊商の群れに一人の男が合流し、休憩時間に、歌や音楽に飽きたら、一人ずつ話すことを提案し、その通りに、話される6つの短編。「コウノトリになったカリフの話」が好みでした。2017/01/30
maja
22
砂漠をいくキャラバンのひと群れ。羽飾りや銀の小鈴、虎の皮で装飾した美しいアラビア馬に乗ってひとり現れた男は、このキャラバン隊の鈴音ではるか遠くからやって来たという。彼を皮切りとして、休息地で語られるそれぞれの語る旅の慰め話は進んでいく。雰囲気ある挿絵も楽しい。入れ子構造の物語で「話」が現実に繋がるところなど物語の深みが広がって豊かだ。砂漠のなかでの「幽霊船」の話も読めてよかった。2025/07/30
慧の本箱
17
何十年か前に行ったサハラ砂漠を思い出しながら手にした本書。エキゾチックで独特の世界観が織りなす物語を堪能して読了。2025/08/20
乙郎さん
11
19世紀に夭折したドイツ人作家の手による児童文学。アラビアンナイトの影響も感じた。粗筋は、キャラバンに向かう商人たちのもとへひとりの男が現れる。一緒に旅をする中で商人たちは退屈しのぎに話をし始めるが……という、物語の中の物語という構造。一つ一つの物語が面白いのは勿論だけど、その物語同士の結びつきが興味深い。2009/02/22