出版社内容情報
「フィンランドのアンデルセン」といわれたトペリウスの童話集.オーロラ輝く北のはての国を舞台に,トナカイや森の王子たちがくりひろげる物語は,ふしぎな美しさにみちています.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
78
サカリアス・トペリウスは、ヘルシンキ大学の学長も務めたフィンランドの作家で、フィンランドの民族運動の面でも活躍した。作家活動の中では、特に、北欧の自然と古い伝説をもとにした子どものための美しい話をたくさん書いた。表題にもなっている『星のひとみ』は、真冬にラップ人の赤ん坊を拾った一家の話。自分とは異なるグループに属する者にも心を開き、共存できるか。それは、すべて、自分の心がけしだいではないだろうか。2020/01/20
kaoru
70
フィンランドの作家トベリウスの童話集。キリスト教や北欧神話の影響も感じられる、豊かで厳しい自然のなかで生まれた物語。『星のひとみ』はラップランド人の子供を引き取った一家の話。子供の不思議な透視力を恐れた主婦が彼女を捨ててしまうと一家は不運に見舞われるようになる。『すいれん』では美しい睡蓮に横恋慕する大岩や杭の悪だくみが彼らばかりでなく睡蓮も破滅させてしまう。『すいれん』『白いアネモネ』『アリとお医者さま』は偶然にせよ宮沢賢治の童話との類似に驚く。トベリウスはヘルシンキ大学の学長職を退いてから童話の→2023/08/25
ケロリーヌ@ベルばら同盟
61
北国の小鳥の歌が、優しい春風にのって、はるばる東の果ての島国に届きました。それは、神のみめぐみと、大自然の美しさを讃える歌。くらい悲しみの中にさえ、さしこんでくる日の光。ひろい荒れ野で、大空の雲を兄弟に、青白いヒースをしとねに、風と歌を子もり歌に育った、小さな命が、良い子どもたちのために、心のそこからうたう歌。耳をすませましょう。古き神々の足音、最後の巨人のなげき、オーロラと星々のまたたき、短くも美しい夏の息吹。深い森の香りと、静けさ。むかしのさまざまな思い出が、しあわせの時が、胸をいっぱいに満たします。2021/12/05
たつや
41
フィンランドの作家さんの短編集。表題作は幻想的で不思議なお話でした。それでいて、人種問題やキリスト教にも通じる深さもありました。全体的に冬や雪のイメージの強い作品が多かったです。2017/01/22
NADIA
36
行きつけの図書館の「司書のおすすめコーナー」にあったので反射的に借り出したが、児童書だった。本は司書さんのオススメでもよく確認して借り出すべきだね。ところで、フィンランドの作家の作品と言えばまず思い浮かぶのは『ムーミン』だよね。何となく不思議で不気味な世界観、確かにどこか通じるものがある! これがフィンランド風か。それから、次に思い浮かぶのが……ないね(^^; 私の頭の中は「フィンランド=ムーミン」といっても過言でないくらいの図式が成立していることを発見できたよ。2024/09/20