出版社内容情報
大切なやぎを売るはめになった少年とやぎの愛の物語や,こっけいなシュレミールの話,こわい話など,7編.ノーベル文学賞作家が,幼年時代に祖母や母親からきいたユダヤの昔話を思い出しながら語ります.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sui
30
七篇から成る短篇集。2ページに亘る前書きが、書き残したい言葉で溢れていた。生き残ったユダヤ人として、ポーランドで亡くなった沢山のユダヤ人の命を、物語の中で繋いでいきたいという作者の強い思いが伝わってくる。お話の中には、とんまな人々が出てくる。でも、彼らは、彼ら自身も、読んでいる読者も笑顔にしてしまう。人を幸せにするのは、高い技術でも賢さでもない、という作者のメッセージ。そして、『やぎのズラテー』が秀逸。言葉は通じなくとも確かにそこにある動物と人間の絆が温かく描かれている。ノーベル文学賞受賞作家。2016/10/11
はやしま
29
子供向け短編集。7話ともハヌカの物語で、蝋燭に火を点ける行事、食べ物(パンケーキ:Latke)、子供たちが遊ぶ駒(ドレイドル)が出てくる。物語は説話的なものや滑稽さを笑って楽しむものなど、どれもホッとできる内容。著者はイディッシュ語で作品を残しノーベル文学賞を受賞したポーランド出身のユダヤ人。ホロコースト前に渡米しており難を逃れているからか物語はWWII前の中東欧系ユダヤ人(アシュケナジー)の姿を残そうとしているかのよう。貴重なイディッシュ文学がオリジナルの挿絵とともにこうして翻訳で読めることに感謝。2015/12/26
空猫
22
【ヤギ関連本:9冊目】「ヤギ」で検索したらヒットしたのはあのノーベル賞作家の作品だった。もちろん難しいお話ではなく民話のような、落語のようなそれでいて少し不思議なお話7編。物語も素晴らしいがまえがきと訳者あとがきも必読。「物語の中の生き物は、いつまでも生き続ける。それが侵略、戦争によって破壊されることはあってはならない」という反戦と愛に溢れた1冊。「愛の迷路」など頑張って読んでみようかな。2018/07/23
mntmt
22
センダックの挿絵に惹かれて読みました。味わい深い7編。「やぎのズラテー」が特に良かった。2016/12/23
花林糖
18
(図書館本)東欧に住むユダヤ人の共通語であったイディシ語で書かれた短篇7話。お気に入りは「つくりものの天国」「もつれた足とまぬけな花婿」「やぎのズラテー」。モーリス・センダックの挿絵が素晴らしい。(購入)2015/08/25