出版社内容情報
静かな田舎に,ちいさいおうちがたっていました.まわりに工場がたち,にぎやかな町になるにつれて,ちいさいおうちは,白いヒナギクの花が咲く田舎の景色をなつかしく思うのでした.美しい名作絵本.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
148
小さい家は、静かな田舎で暮らしていた。美しい四季を見つめる顔は、とても幸せそう。やがて、周辺の開発が進み、静かな生活は一変する。ビルに囲まれた小さい家が元気をなくし朽ち果てていく様子が痛い。私が知っている小さい家は、茅葺で、おばあさんが一人で住んでいた。石を踏んで川を渡るとあった。ある年、川は、コンクリートで整備され、その変りように愕然とした。おばあさんも、間もなく亡くなった。この本は環境問題も訴えているようだけど、今は、小さい家の幸運な物語だと捉えたい。茅葺の家も、幸せな顔して、川向こうを見つめていた。2012/11/14
月讀命
137
この本は、幼稚園の時に初めて読んだ本です。45年くらい前に、叔母に貰らい何度もなんども読みました。中学に行く頃には、既に家には無かった。最近、本屋の児童書コーナーで見つけ懐かしさのあまり購入してしまいました。 雛罌粟の咲く丘に一軒のちいさいおうちがあり、そこが徐々に都市化されてゆく。都会の喧噪の中の寂しい環境に取り残されてゆく。その後、この家はジャッキで田舎に運ばれ、自分の居場所に戻れると云うお話。 今この本を読むと自分自身にダブらせ、私には居場所が無く、過去を懐かんでいる様に思えるのは私だけでしょうか。
♪みどりpiyopiyo♪
100
お日さま色のひなぎくの咲く表紙を見ると なんだかにっこりしちゃいます。大好きなお話♡ ■ひなぎくの咲く丘でのんびり暮らしてたちいさいおうちは、周りがどんどん街になって…。ちいさいおうちは、それをみな じっとみていました。■何回読んでも、途中で泣きそうになって最後はほっとしてにっこりしちゃいます。ちいさいおうちは、もうすこしも さびしくなんか なくなりました。いなかでは、なにもかもが たいへん しずかでした。■ばーとんさんと いしいももこさん。■新しい暮らし、よかったね( ' ᵕ ' )2016/06/23
ネギっ子gen
86
アメリカを代表する絵本作家の一人、バージニア・リー・バートンの傑作絵本。 細部まで考え抜かれた構図、デザイン、美しい色彩。多くは語らずとも、その思いがシンプルに伝わってくる文章。現在に至るまで多くの表現者が、影響を受けた1冊としてこの作品を採り上げるのも納得の完成度。表紙のお日さまはウィンクしているが、裏表紙では、花びらの花芯にいて、ニコニコ顔。訳者は、『ノンちゃん雲に乗る』などで知られる石井桃子。袖に、<人間の生活に自然がどんなに大切かを、詩にみちた文章と、美しい動きのある絵で見事に描き出した>と。⇒2021/07/02
モリー
81
原書に引き続き翻訳を読みました。原書から受ける印象と翻訳から受けるそれとの若干のズレが、深読みへと私を誘いました。例えば、「あぱーとめんと・はうすやら こうだんじゅうたくやらが」小さい家を囲んでいく様子を説明する部分ですが、原文で使用されている単語は、「apartment houses and tenement houses」です。英語で読む方が、都市における貧富の格差をより意識させられます。また、小さな家は古くてもしっかり作られているため、最後はヒナギクの咲く丘に移動してパッピーエンドを迎えますが↓続く2020/07/31