出版社内容情報
「白髪のぢゞい」になったと嘆き,体の不調に悩まされつつ,『心』『道草』,そして『明暗』を書き続ける漱石.
内容説明
修行中の禅僧や芥川龍之介らの若さに励まされ、持病に悩まされながらも小説を書き続ける漱石。徳田秋声宛書簡など、補遺も含めて三十一通を新たに収録。
目次
大正二年(書簡1870‐2037)
大正三年(書簡2038‐2263)
大正四年(書簡2264‐2458)
大正五年(書簡2459‐2585)
年次未詳(書簡2586‐2600)
補遺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
6
大正2~5年、『行人』連載から絶筆となった『明暗』を書いてる時期。仕事で一応小説は書くけど、書画や骨董品集めなど高等遊民的生活を楽しんでる。もう文学にはあまり期待してない。だが一方で、『草枕』のような過去の高等遊民的作品は完全否定されてる。矛盾があるようなんだが、痔や胃病に苦しめられ寝たり起きたりで、いつ死ぬかもしれないという自覚がある。そして、大患の神秘的経験から死は恐れるものというより、狭い自我から解脱と結びつけられてる。大患を経て求めるものが、いわば中国読書人風教養から仏教的悟りへと変わっている。2025/03/30