出版社内容情報
正岡子規宛てを始め、赴任した松山・熊本から、留学したロンドンから、流行作家となってからも長い手紙を書く漱石。今回約七十通を新たに収録。この巻には明治二十二年から明治三十九年までの書簡を収める。
内容説明
英語教師となって松山・熊本へ、ロンドン留学を経てついに文学者としてたつことを決意するまで、手紙に綴るその時々の心情と友人・後輩との交流。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
9
漱石への関心が嵩じてこんなものまで読み始めた。明治22~39年の書簡。予備門での子規宛書簡から「二百十日」「野分」くらいまで。この頃の漱石は単純に高等遊民的生活を夢見て、それが叶えられないことをぼやいてる。教師生活が嫌でしょうがないけど、食うために辞められない。『猫』の成功によって文壇に出るけど、それだけじゃ食えない。訪問客も増えて創作に専念できない。それに嫌気がさして『草枕』が書かれた。だけど藤村の『破戒』や煩悶青年たちとの交流から文学で社会と闘う決意をする。それが『虞美人草』で『草枕』とは断絶がある。2025/02/16